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特集山里の未来図 久万高原町長選を前に2012年08月16日(木)

自宅近くの畑でピーマンを収穫する山蔭さん。はさみの音が、静かな山あいに響く=久万高原町河の子

山里の未来図(上)定住促進 仕事減り進む過疎化 施策次々 地域と連携を

 2004年8月、久万町、美川、柳谷、面河各村の合併で誕生した久万高原町。過疎化に歯止めがかからず、地域経済も低迷が続く。町を取り巻く環境が厳しさを増す中、明るい将来展望は描けるのか。21日告示、26日投票の町長選を前に町の現状や課題を探る。(雲出浩二)

 町北東部、県道から3キロほど山道を入った河の子集落。住んでいるのはわずか3人、全員80歳以上だ。「数年後、おそらくここは誰もいなくなる」。悲観的に話す自治会長の農業山蔭寅雄さん(83)は、今夏から独りで暮らしている。60年以上連れ添った妻(82)が2年半前から認知症を患い、先月、ついに自分で起きられなくなった。
 山蔭さんは松山市の病院に救急搬送された妻の退院を心待ちにしていたが、8月1日、「症状の改善が見込めず、自宅療養は不可能」と告げられた。帰りたがる妻に背を向け、病院を後にした。
 山蔭さんによると、集落には1950年ごろ約100人いたが、林業の仕事が減ると、過疎化が進んだ。町外に出た2人の息子が会社を辞め、一度は帰郷したが、地元で働き口を得られず、再び町外に出た。
 「水も空気もおいしく、ぜひ若い者に住んでほしいが、ここでは生活の見通しを立てられない。町内にある多くの集落で同じ状態になるだろう」
 県内20市町で最大の面積を持つ同町だが、人口は50年をピークに減り続け、2010年には約9600人とピーク時の約4分の1になった。国立社会保障・人口問題研究所の推計(08年12月)では、30年にはさらに3千人以上減る見通しだ。
 町は07年度から「空き家バンク」制度を始め、本格的に定住希望の相談に応じている。町総務課によると、住居と仕事がネックで、町は来春、移住者対象の町営分譲宅地(22区画)を売り出す。町中心部で学校やスーパーも近く、松山インターチェンジまで車で約30分と通勤アクセスの良さが売りだ。
 町は就農手助けや、中学生まで医療費無料といった支援施策を講じているが、ニーズはほかにもある。03年に町内へ家族で移住してきた鷲野陽子さん(48)=二名=は、定住促進のポイントに「安心して子育てができる環境」を挙げ、子どもや高齢者が使えるコミュニティーバスを望む。
 人の数は地域の活力に直結する。自然増が見込めない地域では、外部に期待する向きがある。ただ、日本全体で人口が減る中、移住者の誘致競争は激しい。行政と地域が密に連携し、ニーズを捉えた細かな支援体制づくりが問われている。

   
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