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特集西条市長選2012年11月08日(木)

西条市本庁舎本館(左奥)の北側で進められている新庁舎建設工事=同市明屋敷

融和への流れ(4) 地域バランスと財政 一体化へ一層配慮を 周縁部住民へ説明不可欠

 2004年に旧西条、東予両市と丹原、小松両町が合併し、509平方キロに11万4千人が暮らす新西条市。市は「地域のバランスを考えながら施策を展開し、融和一体化に努力してきた」とするが、限られた財源では要望に応えきれず、合併で新市の周縁部になった地域の住民からは不満の声も聞かれる。
 「合併協定書に反する方針を、なぜ住民と十分相談せず決めるのか」。2011年3月。市が新庁舎建設問題を説明する東予地区地域審議会で、委員が声を荒らげた。
 合併時に2市2町が結んだ協定書は、市庁舎を「現庁舎より西側」に移転新築すると明記していた。しかし市は市議会調査特別委員会の中間報告に基づき、現庁舎の改修・増築方針を決めた。庁舎から遠い旧東予、丹原地区住民らは「約束が違う」「利便性が悪い」などと反発した。
 市と市議会の判断は、財政上の理由が大きい。市の試算では移転新築費用は約75億円。現行方針より約35億円高くつく。市議会特別委の報告は「財政調整基金を全部取り崩さねばならず、負担が大きい」と強調する。
 西条市は製造業の事業所が多数立地し、税収は比較的豊かだ。現状の市財政は「いずれの指標も問題ない数字」(県市町村課)。1に近いほど財政に余裕がある「財政力指数」は11年度0・713と県内市町で4位だ。
 04年度時点で840億4千万円あった地方債残高は、新たな借り入れの抑制で11年度までに67億9千万円減らした。財政調整基金は24億円から約57億円に積み増した。市総務部は「合併時1408人いた職員を402人減らすなど、行財政スリム化の成果」とする。
 だが、将来不安もある。合併した自治体に普通交付税を上乗せする国の優遇措置は12年度で23億円あるが、20年度にはゼロになる見通し。円高に起因する不況の影響で、市内の造船や繊維などの製造業が打撃を受けており、法人市民税収入は07年の27億5千万円をピークに11年度は19億8千万円に減った。
 急な支出にも備えねばならない。04年の台風災害で大きな被害を受けた市は、財政調整基金の半分近い約20億円を取り崩し、復旧に充てた。市財務部は「平時から余裕を持たなければ、いざというときに市民生活を守れない」と教訓を語る。
 財源を有効活用し、地域バランスに配慮しながら施策を展開しても、市内全域から満足を得るのは容易ではない。財政の制約下で「融和一体化」を実現するには、次期市政でも住民と向き合い、説明責任を果たし、納得を得る姿勢が欠かせない。(今西晋、杉本賢司)
=おわり

   
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