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特集西条市長選2012年11月07日(水)

西条市丹原町関屋でバラを栽培する佐伯さん。農家の高齢化が進み、近隣には耕作放棄地も目立ってきた

融和への流れ(3) 地域農業再生 生産から流通 一体化 経営モデルの構築へ試み

 アタゴガキ、七草、裸麦―。全国でも高いシェアの野菜や果物に加え、バラなど園芸作物の栽培も盛んな西条市は、四国の市町村一の経営耕地面積(約5千ヘクタール)を誇る。その多彩な農産地も、農家の高齢化や後継者不足といった全国的な課題に直面している。
 「せめて普通に生計を立てられれば」。バラ産地として知られる同市丹原町で、栽培歴20年の佐伯トシ子さん(65)はため息交じりに語る。地元の関屋地区は、かつてあたご柿などの栽培が盛んだった。だが今では約50戸ある農家の大半が70代以上。後継者がいない農家も多く、耕作放棄地も増えた。
 背景には農産品の安値や販売不振などで農業がなりわいとして成り立たない現状がある。同地区の野菜農家村上浩一さん(72)も「たくさん作って低価格で売る時代で、大規模でないとなかなかやっていけん。息子に後を続けてもらおうと思っても言いだしにくい」とこぼす。
 市によると、市内の農家戸数は2010年に4703戸。10年前から約2割減った。就農人口は4907人と3割強の大幅減。65歳以上の農家は65・7%で、10ポイント上昇した。
 市は県や国と共同歩調で生産効率化に向けた圃場整備を進めながら、野菜ソムリエ育成による地元産物のPR強化、アジア諸国への販路拡大など独自施策を展開してきた。集落営農の担い手育成事業などが奏功、耕作放棄地が05年の390ヘクタールから10年に351ヘクタールに縮小するなど一定の成果は出たが、楽観できない状況が続く。
 こうした中、市は日本経団連などと連携し、ビジネスとして成り立つ新たな経営モデルの構築を試みている。生産と加工、流通を一体化し、産地活性化を目指す西条農業革新都市プロジェクトだ。
 中核を担う農業会社「サンライズファーム西条」が、産地化を目指してレタス栽培を昨年開始。地元企業やJAと連携を図りながら、「パッケージ・加工センター」設立に向けた協力や、関西圏などへの販路開拓を進めている。
 衛星利用測位システム(GPS)を使った無人化や農作業精密化の実証実験も始まった。農家負担を軽減する小水力発電は、15年度設置を目標に基本計画策定を進めている。
 農家の所得向上や生産量増加など、地域農業の発展につなげようとする西条市での取り組みは、先進事例として高い注目を集めている。成功を収め、全国のモデルケースとなれるか。行き詰まった国内農業に一石を投じる試みは、緒に就いたばかりだ。

   
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