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特集上島町長選・町議選2012年10月26日(金)

2010年度に完成した立石港の港務所。生名橋開通前後、上島町内各所で施設整備が進められた=同町生名

離島自治体の航海図(下)財政事情 交付税・補助金頼り 産業振興や雇用増 必要

 弓削、生名両島を結ぶ上島町民待望の生名橋が開通した2010年度。開通を機に集客や町民の利便性向上を図ろうと、町内は公共事業ラッシュを迎えていた。
 弓削地区では離島体験交流宿泊施設建設(事業費約11億円)、弓削―因島航路の旅客船建造(1億2千万円)などが耳目を集め、生名地区では立石港港務所(1億7600万円)と特別養護老人ホーム(11億8千万円)が相次ぎ完成。岩城地区でも総合庁舎(4億6500万円)と定住促進住宅(1億4600万円)を建設した。
 10年度の主要公共事業は総額50億円超。7千人余りの町でこれほどの集中投資ができたのは、地方交付税や補助金など国や県の財源を活用し、町の負担を3割以下に抑えたためだ。
 町は自己負担抑制を基本方針に各種事業を進めてきた。10年度には初めて貯金に当たる財政調整基金に1億2千万円の積み増しを実現。11年度も3億1700万円を積んだ。
 財政の健全度を示す指標の一つ、実質公債費比率は10年度で10・2%。県内市町で4位の良い数値だ。年間収入に対する借金の割合を示す将来負担比率は58・9%で、国が早期健全化基準とする350%には余裕がある。
 ただ、高齢化に伴う医療や年金など社会保障関係費の増大で国の財政は危機的状況にあり、交付税や補助金に頼る財政運営手法には危うさがつきまとう。
 合併した県内他市町と同様、合併特例法の財政優遇措置で本来額より上乗せされている普通交付税は、近い将来削減される。11年度の交付税収入は約35億円だが、優遇措置が終わる20年度以降は約7億円減る見通しだ。
 「基金の積み増しを急ぎ、収入減に対応できるようにしたい」(町総務課)とするが、基金による穴埋めは一時しのぎにしかならず、抜本対策としては歳出削減か自主財源確保しか道はない。11年度歳入76億円のうち、町税収入など自主財源は17億円程度。造船業以外に大きな産業がない中、町は産業振興や雇用促進で税収増と地域経済の活性化を図りたい考えだ。
 過疎・高齢化が進み、1次産業の就労人口も減り続けている。町は農業体験を呼び水にした定住促進、かんきつ類のブランド化、魚食普及などを進めるが、一朝一夕に効果が表れるわけではない。産業振興課は「産業基盤が弱いのは事実だが、地道な施策でも手を打ち続けなければならない」と話す。
 合併から8年、町民の間には「ハコモノ行政」からの脱却を求める声も根強い。次のかじ取り役は、どのような針路を選択するのか。町民は新たな航海図に強い関心を寄せている。(江頭謙)

   
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