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特集上島町長選・町議選2012年10月25日(木)

5月末で廃止となった尾道航路の快速船=5月31日、上島町弓削下弓削の弓削港

離島自治体の航海図(中)揺らぐ航路 利用者減 赤字・廃止も 財政難 行政支援に限界

 上島町の4島を三つの橋で結ぶ県の上島架橋事業。弓削大橋に続いて2011年2月に生名橋が開通し、弓削、佐島、生名の3島が陸続きとなった。残る岩城橋実現への期待が高まる一方、町内に寄港する離島航路を取り巻く環境は厳しさを増している。
 今年5月末で、弓削、生名両地区と広島県尾道市中心部を結ぶ瀬戸内クルージング(岡山県笠岡市)の尾道航路(1日6往復)が、利用者減少などを理由に廃止された。
 同航路は通院する高齢者らの足となっていたため、存続に向けて町の支援を求める住民運動が起きた。町は1890人分の住民署名提出を受けて業者との協議に乗り出したが、特定の民間航路への支援には慎重姿勢を取った。多数の署名とは裏腹に乗客は増えず、住民の取り組みは実を結ばなかった。
 同じころ、町と今治、尾道両市が出資する第三セクター芸予汽船(今治市)の赤字問題も浮上した。今治―因島を上島経由で結ぶ快速船を1日9往復運航している。岩城、生名、弓削各島をつなぐ町民の貴重な移動手段だが、並行する瀬戸内しまなみ海道の開通後、利用者が減り続けている。
 同社は11年12月期決算で約4500万円の経常損失を計上。町は3市町の協定に基づき損失補(ほてん)額の7割以上、約3350万円を負担した。
 収支改善に向け、出資者の間で往復2便を削減する案が持ち上がったが、町は利便性を理由に反対。現状維持の条件として、2便維持相当分の負担を受け入れた。
 過疎対策事業債の適用で実質負担は補額の3割に抑えられている。とはいえ業績回復の見込みがなければ、補の是非を問う声も出かねない。
 過疎化が進む中、離島航路をどう維持していくかは、行政にとって今後も避けて通れない課題だ。町は、理事者と町議で構成していた公共交通審議会に代わる新たな協議機関の設置準備を進めている。業者や利用者を交えて公共交通の在り方を議論し、交通政策に反映するのが狙いで、年内の発足を目指す。
 町公営事業課は「交通機関の情報交換のほか、住民のニーズや不安などを集約し、共通認識を持つところから始めたい」とする。
 町内には九つの航路があり、同じ島に向かうにも複数のルートがある。使われない航路は廃れるが、その航路を頼るしかない弱者もいる。航路は使ってこそ維持できる島の共有財産。財政力が弱い小規模自治体の支援には限界があり、島民全体で守る意識が欠かせない。(江頭謙)

   
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