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特集上島町長選・町議選2012年10月24日(水)

22世帯34人が身を寄せ合うように暮らす上島町魚島地区・高井神島の集落。過疎化が影を落とす

離島自治体の航海図(上)魚島地区 突出した人口減少率 漁業低迷 老後に不安も

 2004年10月に弓削、岩城、生名、魚島の4町村合併で誕生した上島町。過疎高齢化が進む中、航路存廃など離島自治体ならではの課題を抱える。30日告示、11月4日投票の町長選と町議選を前に町の現状や課題を探る。(江頭謙)

 町の中心部、弓削港から快速船で南東へ約40分。燧灘のほぼ中央に浮かぶ魚島地区の高井神島。港周辺の傾斜地に張り付く集落に22世帯34人が暮らす。高齢化率約70%、子どものいないこの島では、50代でも「若者」だ。
 「小中学生だけで80人はいた」。自治会長の木村定さん(62)は漁師の家に育った少年時代を振り返る。中学卒業後、横浜の高校から東京の私大に進学。そのまま大学職員となった。高度経済成長期。誰も若者の流出を止められなかった。
 木村さんは05年、両親の介護のため島に戻った。亡き父親は「島の役に立つことをやれ」と言い残した。その言葉を胸に、集落支援員など地区の役職を一手に引き受けた。
 町の人口は約7350人(8月末現在)。合併時から約千人減った。弓削、岩城、生名地区の減少率は十数%だが、高井神島を含む魚島地区は30%弱と突出している。
 「そのうち無人島になる」。島民に悲観的なムードが漂う中、木村さんは3年前に「高井神ようこそ祭り」を始めた。東京時代の人脈を生かし、島にも娯楽を―と歌手や手品師を招く。祭りの名には「取り残された島をアピールしたい」との願いを込めた。祭り当日、島外から島民の2倍の人が訪れ、静かな島がしばし活気づく。
 09、10両年度、魚島と高井神島は県の過疎・高齢化地域活性化事業のモデル地区となった。住民や県・町職員、愛媛大の研究者ら30人で元気な島づくり実行委員会を組織。漁場環境整備や閉鎖中だった観光センター再開、高井神島の清掃や祭り支援などの活性化事業に取り組んだ。
 11年度以降も町の補助で事業継続中だが、島の経済を支える漁業は厳しい。漁業者減少もあり、魚島地区の近年の漁獲量は年間200トンを切った。ピーク時の3分の1以下だ。元村職員の関戸勝由さん(75)は肩を落とす。「25年ほど前に人が増えると予測し漁港を拡充した。予算確保の側面もあったが、甘かった」
 島づくり実行委員長の佐伯真登さん(80)は「過疎の進行は、産業衰退だけでなく老後不安も大きな要因」とみる。魚島でデイサービスセンターを利用できるのは週3日。ほかに高齢者福祉施設はない。訪問介護サービスもあるが、身内を頼って島外に転出する高齢者は後を絶たない。
 「へき地だからこそ介護の充実が不可欠」と佐伯さんは強調する。住み慣れた古里で人生を全うしたい。不便でも安心して暮らせればいい。島民のささやかで切実な願いだ。

   
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