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特集新居浜市長選2012年11月02日(金)

総合文化施設建設をめぐる住民投票条例案を審議した新居浜市臨時議会

工都の次代(4) 議会との関係 文化施設で課題浮上 直接民主主義をどう担保

 2000年11月、草の根選挙で市民参画を訴え初当選した佐々木龍市長は、直後の12月議会で「ハコモノ行政」に疑義を唱え、構想が固まっていた市総合体育館の建て替え中止を表明した。二元代表制の一翼を担う議会に対しては、しがらみができるのをきらい「脱根回し」で臨んだ。
 「控室ではあれこれ言うが、議場では発言しない人を控室議員という。これでは市民には物事がどう決まっているか分からない。だから議員控室に行かなかった」と佐々木市長は述懐する。結果、市長提出議案はしばしば修正・否決されたが、議場は活性化した。
 ただ、10年9月議会から審議が本格化したJR新居浜駅前の総合文化施設計画では、様相が違った。
 63億5千万円に上る巨額の建設費をめぐり市民が12年6月、賛否を問う住民投票条例制定を請求した。これに対し、佐々木市長は今回のケースでの住民投票の必要性を否定し、議会も修正案を出したが、最終的には否決した。建設工事の入札が全業者辞退で不調になっても、市長と同じ建設推進派の市議は、再入札に関する議会質問をしなかった。
 「結局、普通の人だった」。対立してきた最大会派・自民クラブの市議の一人はこう漏らした。市民の声をよそに、議会で多数派を形成してハコモノもつくる―。一線を画してきたはずの「ありがちな首長像」への変節と映った。
 佐々木市長自身は「基本的な考えは12年間変わっていない」と反論する。「ハコモノ全体は抑制すると言ったが、文化施設は初当選からの公約だ」
 住民投票も請求は市民的成熟の反映で、地方自治への参画を訴えてきた成果とも考える。一方で「一般論として、政治だから個別の話で動きだすと理屈じゃないところが出てくる」。「あらかじめ常設型の住民投票条例を定めておくべきだ」というのが持論だ。
 文化施設はもともと美術館建設を求める市民運動から始まった。40年に及ぶ年月を経て、既にある大型公共施設「市民文化センター」が老朽化し、建て替えの必要性が指摘されている。文化施設の運営には毎年1億6千万円もの費用がかかり、市民の厳しい視線が注がれている。
 限られた財源の中で公として何を行い、市民の負託に応えるのか。そのために予算承認権を持つ議会とどのような関係を築き、市民による直接民主主義をどう担保するのか。佐々木市政の終盤に文化施設をめぐって浮上した課題は、次代も行政全般で問われる。(秀野太俊、河野茜)=おわり

   
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