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特集新居浜市長選2012年10月31日(水)

工都の次代(2) 経済・産業振興 民と公の線引き難題 企業・三セク支援 道半ば

 新居浜市民から「福祉の龍さん」と呼ばれる一方で「経済に弱い」との批判もあった佐々木龍市長。連結売上高が2兆円に迫る住友化学などグローバル企業の城下町で、一般会計が400億円台の自治体は、どのような経済施策を担うべきなのか。
 国の工業統計調査によると、新居浜市の製造品出荷額は、佐々木市長就任の2000年が4802億円で、07年の8317億円がピーク。世界経済を揺るがしたリーマン・ショックを経て激減し、直近の10年は6150億円。人口規模や産業構造が近い西条市も同様の変化をたどったが、09年以降の回復には差があり、ここ10年間で最大となる約2千億円の差が開いている。
 新居浜、西条両市に大規模工場がある住友金属鉱山の真部良一別子事業所長は企業の考え方を「大きな流れは、地方自治体の枠を超え、日本や世界の経済状況に由来する。生産性の向上や効率化を考える時、新居浜か西条かは比較しない」と説明する。
 ただ、一般論として「経営判断するのは人。行政と企業の意思疎通が不十分で、何の支援も受けられないなら、その地域で投資する必要はない。首長の影響力は大きい」とも。
 市は昨年、中小企業支援のため、公設民営の人材育成施設「ものづくり産業振興センター」(同市阿島1丁目)を建設した。運営費に補助金は出していない。
 佐々木市長は「最初の数年間だけのつもりで補助金を出し、ずるずる続くのが昔からの傾向。それは避けたかった」と語る。センターを運営する新居浜ものづくり人材育成協会の服部幸二業務執行理事は「地場の情報・環境整備など公だからこそできることがある。市にはもう少し近づいてほしい」と話す。
 逆に、公金を投入し続けても経営難が続いているのが、1991年オープンの観光施設を運営する第三セクター「マイントピア別子」と、施設内にある市直営の端出場温泉保養センター。市は温泉に年間約1億円の委託料を支出しながら、毎年1億円以上の赤字を一般財源で穴埋め。委託先のマイントピアは黒字だが、温泉を廃止し委託料がなくなれば赤字転落する収支構造だ。
 「観光施設に直接公費を出せないから三セクをつくり、風呂を公がやる理屈がないから(福祉も兼ねて)保養センターとした。振り返ると中途半端だ」と佐々木市長。マイントピアの船越豪晴専務は「従来、行政に甘える構造があったが、公共の目的のため、民間の知恵と手法で長期的には独立採算できるようにしたい」とする。
 民と公の線引きをどうするか。どの自治体、どの首長にも突きつけられる難題だ。

   
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