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松野町長選

4500人の前途(上) 福祉・財政 超高齢化 医療面に影 人口流出 自主財源16% 2012年11月09日(金)

老老介護の現場。高齢化が深刻になり、福祉施策の充実と財源確保策が求められている

 2010年3月に鬼北町との合併協議会を廃止し、単独での歩みを選んだ松野町。人口約4500人は県内自治体で最少だ。厳しい財政状況に人口流出や1次産業の不振が追い打ちを掛ける。高齢化が急速に進む町で、福祉対策や産業振興にどう取り組むのか。13日告示、18日投票の町長選挙を前に現状や課題を探った。(高田未来)

 「将来の老人ホーム入所に備えて生活を切り詰めており、夫婦で月合計1万円近い介護保険料が苦しい」。12年前から寝たきりの夫を介護してきた同町目黒の農家の女性(78)は、ため息をつく。
 町高齢者福祉計画によると、町の人口は過去30年間で約1500人減少。その一方、65歳以上は600人ほど増え、約1600人になった。10年国勢調査時の高齢化率は37・3%で、県内平均より約11ポイント高い。05年からは75歳以上の人口が65〜74歳を上回ってきた。
 超高齢化社会の進展は、町民や医療体制への負担になっている。町内に特別養護老人ホームは一つしかなく、町は13年度に老人ホームやグループホームの誘致を予定。施設の利用者増加分などを介護保険料に反映する。今年改定した介護保険料の基準月額は5254円(前期比28%増)で、増加率は県内で2番目だった。
 町唯一の医療機関・町中央診療所では、医師が外来や入院、在宅医療に加え、福祉施設の嘱託医も兼ねる。1995年の開設当初は常勤医3人体制だったが、現在は2人体制。在宅介護を続ける農家の女性は「さらに人口が減り、町内の医師もたった1人になるか、もしかしたらいなくなるのでは」と心配顔だ。
 高齢化の背景には産業衰退がある。主要産業の農業は経営規模が小さく、生産性が低い。鳥獣被害も深刻で農家戸数は減少の一途だ。2009年には精密機器製造工場が撤退し、小売業など自営業者の廃業も続く。
 就労の場が減り続け、宇和島市や県外などへ職を求める人口流出が進行。今春の生産年齢人口(15〜64歳)は全体の52%、2305人となっている。
 必然的に町行政の台所は苦しく、財政の豊かさを示す財政力指数は0・16と県内市町で最低だ。昨年度の歳入総額約31億円のうち、自主財源は16%しかない。町は過去10年間で正職員約110人を80人に減らし、地方債の新規発行も抑制。町議会も議員定数を14から7に半減した。
 町は「これからは経費を抑えるばかりではいけない。産業振興に向け、観光や特産品開発など必要なところに投資する」と攻めの姿勢に転じる構えだ。

   
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