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特集愛南町長選2012年10月12日(金)

1972年に建設された愛南町庁舎。新耐震基準に適合しておらず、震度5強で「小破」又は「中破」するとされる=9日、愛南町城辺甲

検証 南端のまち(下)財政・庁舎建設 独自施策 厳しい財源 「防災拠点」不安消えず

 「新庁舎建設特別委員会の資料によると、2021年度の経常収支比率は99・6%。10年後には投資的経費を出せないのでは」。愛南町の9月定例議会初日、一般質問に立った町議が詰め寄った。
 同比率は使途に制限がない一般財源に占める人件費や物件費など固定費の割合で、財政の弾力性を示す。高いほど独自施策に充てる財源が乏しくなる。
 石川芳洋副町長は「歳入を少なく、歳出を多くみた」と述べ、歳入の半分を占める地方交付税を厳しく見積もったと答弁。財政担当者も各種指標で財政の健全性を強調したが、人口減少や地域経済低迷の中で新たな財源確保の妙案はなく、外部財源頼みの苦しさが浮き彫りになった。
 町の11年度地方交付税収入は86億3900万円。合併特例法の財政優遇措置で普通交付税が本来額より上乗せされているが、優遇措置は19年度まで。町は今後も交付税抑制基調が続くと想定し、21年度は63億4800万円とはじく。将来の収入減を見越し経費削減を進めつつ、積立金は11年度決算で合併時比33億円増の84億円、地方債残高は48億円減の216億円とした。
 財政健全化へ職員にも大なたを振るう。生涯学習課人権啓発室では4月に係長が異動、課長と課長補佐の2人体制といういびつな組織になった。合併時に641人いた町職員は、採用抑制による自然減で488人に減少。人件費を21%減の33億円まで圧縮した。
 新庁舎建設に反対していた清水雅文町長が昨年5月、災害時の役場機能確保へ建設方針に転換した。中長期財政計画で消防庁舎とともに建設を織り込み済みとはいえ、11年度の養護老人ホーム南楽荘、12年度の学校給食センター建設を合わせ総投資額は約40億円を見込む。「本当に必要か」「財政は大丈夫か」―。反対や不安の声が消えない。
 8月、内閣府が南海トラフ巨大地震の新想定を発表した。愛南町は1メートルの津波到達が県内最速の19分、最大津波高は16メートル超。12年度防災対策費は県半額補助の津波避難路整備事業6千万円などが新たに加わり、前年度の2・4倍に急増した。
 災害対応を中心的に担う防災対策課では臨時職員が5月に2人増えた。ただ「一般職員の配置は目いっぱい」(石川副町長)という事情の下、正職員は欠員補充で4人体制を維持するのがやっと。
 町企画財政課は「逃げる対策は何をおいても優先したい」と強調する。財政、人員とも余力が失われつつある中、新たな町のトップは政策の優先順位をどうつけるのか。雇用対策、1次産業振興、防災。山積する課題はどれも待ったなしだ。(白川英樹)

   
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