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[中]揺らぐ医療 市立病院 分娩できず 医師確保向け模索続く 2013年04月11日(木)

改築が進む市立八幡浜総合病院。市は環境整備で医療従事者のモチベーション向上も期待する

 4月上旬、八幡浜市松柏にある住宅の一室。会社員の女性(31)が、居間をはいはいする11カ月の次女を見守りながら話す。「この子は大洲市の医院で出産したんですよ」
 八幡浜市大平にある市内で唯一の総合病院「市立八幡浜総合病院」では、産婦人科の常勤医が不在となるのに伴い、2012年1月に分娩(ぶんべん)を中止した。市内で分娩できるのは、民間医院の1施設だけ。「陣痛が始まってからの移動距離を考えても、八幡浜で診てもらえる方がありがたい」と女性は話すが、産後の母体へのケアなどを総合的に判断して大洲市の医院を選んだという。
 市立病院の10年度の分娩数は80件で、01年度の約200件から大幅に減少。長女が市立病院で2人を出産したという八幡浜市五反田、農業の女性(57)は「出生数が下がり需要が減ったのは分かるが、地元の総合病院で出産できないのは寂しい」と分娩再開を望む。
 市立病院では週に3回あった妊婦の外来診療が、4月から週2回に減った。5月からは予約患者だけに限る。病院側は「医師確保に努めているが、現状は厳しい」と説明する。
 04年、新医師臨床研修制度の開始に伴い、愛媛大が派遣していた医師が市立病院から引き揚げ、医師不足が深刻化した。07年度には、開業や転職などを理由に医師8人が相次ぎ退職。内科医は現在、05年度の3分の1に当たる4人に減った。「医師の負担が増えており申し訳ない。過労で倒れられるのが一番怖い」(病院事務局)
 八幡浜市と旧西宇和郡からなる八西地域には、市立病院のほかに2次救急病院がない。市立病院も火曜と土曜の夜間救急患者は受け入れておらず、大洲市や宇和島市、松山市の病院に搬送しているのが現状だ。
 市は老朽化した市立病院の改築を進めており、16年11月の完成を予定する。市側は「医療従事者のモチベーション向上にもつながる」と医師確保に向けた起爆剤としての役割も期待する。
 市は2年前から同市出身の愛媛大医学部生との懇談の場も設けており、昨年は5人が参加した。「将来を見据えた働き掛けを続けたい」と強調する。
 ただ、病院関係者からはこんな嘆きも漏れ聞こえる。「八幡浜は、医療過疎地域の病院でも、都市部のような最新の医療が学べる場でもない。若い医師にとっては中途半端なのかもしれない」
 医師不足は地域や自治体がこぞって課題に挙げる難問。特効薬が見当たらない中、地域医療立て直しに向けた模索が続く。(小田良輔)

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