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特集東温市長選・市議選2012年10月18日(木)

2011年9月、台風12号で崩落した蔭地集落につながる道路=同月5日、東温市山之内

衛星都市の未来像(中)防災・人口 台風教訓 孤立に備え 山間部の人手不足危惧

 2011年9月に県内を襲った台風12、15号は、過疎高齢化が進む東温市の山あいの集落にも深い爪痕を残した。滑川地区と、山之内地区の蔭地集落では河川増水などで計約60世帯が数日間孤立。地滑りの恐れがある集落の住民は、市営住宅などに自主避難を強いられた。一帯は地上デジタル放送の難視聴地域で、市の防災無線も聞こえにくい。災害時の情報伝達が課題として浮き彫りになった。
 国は南海トラフ新想定で東温市を震度6強とした。市危機管理室は台風襲来時の孤立を教訓に、避難場所となる集会所で備蓄物資を増量。職員らがお年寄りを背負って避難した反省から、背負子(しょいこ)や担架も備え付けた。集会所126棟中、現行耐震基準となった1981年より前の建築分は耐震診断を実施。旧重信、川内両町で周波数が異なる防災無線の統一運用を検討するなど孤立対策を急ぐ。
 市は学校耐震化を優先して進め、耐震化率は2011年度末で77・4%。当初予定より2年前倒しとなる15年にも完了予定だ。上下水道の耐震化も県内で唯一100%を達成した。
 ハード面の防災対策と並行し、5月に自主防災組織を束ねる協議会が発足するなど住民の防災意識も向上しつつある。ただ協議会の橘敞三会長は「高齢者が点在する過疎地のカバーが重点課題」と人手不足を危惧する。
 同市は04年の合併後、県内最高の人口増加率を維持してきたが、09年に減少に転じた。全市的には微減だが、山間部では過疎化が進む。
 市は人口回復策として本年度、志津川地区土地区画整理事業の分譲を始めた。市や地権者らでつくる組合が主体となって県内最大規模の23・1ヘクタールに約800区画の宅地を造成し、計画人口は計2400人。市は「中央市街地」に位置付け、100億円の経済効果を期待する。
 旧重信町が行った2地区の宅地分譲事業では、計788世帯1545人が市外から転入した。市は「住民の市外流出にも歯止めをかけたい」とする。
 保健福祉センターや南吉井地区への児童館新設など、新市建設計画に記した積み残しの「宿題」もある。住民の高齢化に伴いセンターを求める声は根強いが、市は「将来の需要を見込み身の丈にあった規模を検討する」と慎重姿勢。児童館も市内で唯一子どもの数が増えている地区だが、具体化していない。
 人口集積は防災だけでなく地域活動の基盤となる重要な要素だ。ただ、まちづくりの手法次第では、市域内の格差がさまざまな面で広がる恐れもある。山間部や高齢者にも細やかな配慮が行き届いた施策が必要だろう。

   
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