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(4)移住促進 格安空き家 情報提供 安心な地域づくりが鍵 2013年01月24日(木)

今治市大三島町で、空き家情報に登録している家屋の状態をチェックする「しまなみアイランド・スピリット」の会員

 瀬戸内しまなみ海道沿線屈指の観光地として知られる今治市大三島町の大山祇神社。神社のある宮浦地区は、休日になると参拝客やサイクリストでにぎわいを見せるが、大三島町は市内でも過疎高齢化の進行が顕著な地域だ。
 市の統計によると、2005年1月の合併時に4120人だった人口は12年12月には3384人に減り、高齢化率も50%に迫る。この間の人口減少率は約18%と市全体の減少率の3倍を超え、島しょ部地域の平均値と比べても5ポイントほど高い。
 大三島地域活性化推進協議会の奥本忠孝会長(71)は「進学などで都会に出た若者が帰ってこないのは昔から。『仕事がない』『若者がいない』の悪循環」と嘆く。基幹産業の農業は後継者不足から年々衰退。小中学校の統廃合や今治北高大三島分校の生徒募集停止問題など、地域の将来に影を落とす事態も生じている。
 厳しい状況の中、地元住民が活路を見いだそうとしているのが移住促進事業だ。同協議会は市の補助を受け、10年末に地元のNPO法人「しまなみアイランド・スピリット」と共同で空き家物件の情報収集・発信事業に着手。ホームページで豊かな自然や歴史など、地域の魅力と物件情報を紹介している。
 物件は築20年以上がほとんどだが、一戸建てでも月2万〜3万円の格安家賃に設定。移住希望者には過疎高齢化の実情を説明し、祭りや清掃活動などの地域行事参加や、活性化への協力を入居の条件にしている。2年余りで21世帯48人の移住が実現した。
 照会窓口の市大三島支所によると、問い合わせの約4割が現役世代。昨年4月に夫婦で東京から移住し、コーヒー豆販売店を開業した衛藤智康さん(43)は「移住を考える段階で何をやりたいかビジョンを持っている人が多いと思う。ポイントは仕事の有無より暮らしやすさ」と話す。
 同NPO法人の相原幸彦会長(52)は「働く場所の少なさが(移住促進の)ネックだったが、予想以上の結果」と手応えを語る。今後は悩み相談など、移住者の支援強化を図る考えだ。4月には市が同町野々江地区の滞在型農園近くに、短期型の島暮らし体験施設開設を予定。誘致施設の整備が一段と進む。
 地域活性化へ住民の期待は膨らむが、子育てや医療・福祉環境の充実など、過疎地域が抱える課題は移住者にとっても懸念材料。誰もが安心して暮らせる地域づくりが、移住促進の鍵を握る。