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社説

米イラン衝突回避 緊張緩和へ武力に頼らず対話を

2020年1月10日(金)(愛媛新聞)

 全面衝突という最悪の事態はひとまず回避されたものの、緊張状態は続いている。米国とイランは、武力で互いをけん制し合うのをやめ、冷静に対話で問題解決の道を探るべきだ。

 イランが、革命防衛隊の精鋭部隊司令官を米軍が殺害した報復としてイラクの米軍駐留基地をミサイル攻撃した。これに対しトランプ米大統領は、米側に死者がいなかったなどとして軍事的報復はしないと表明した。

 国際社会には安堵(あんど)感が広がったが、1979年の在イラン米大使館人質事件に端を発した米国とイランの対立が「戦争」寸前にまで至ったことを深刻に受け止めねばならない。

 報復攻撃についてイランは、国連安全保障理事会などへの書簡で、国連憲章で定められた正当な自衛権の行使だったと主張した上で「戦争は求めない」と言明。米国側にも「反撃しなければ、攻撃は続けない」との書簡を送っていた。軍事力で圧倒的な差がある米国との本格的な衝突は避けたいとの思惑があったのだろう。

 トランプ氏は声明で、イラン側が停戦しているようだと指摘し「軍事力は使いたくない」と明言した。トランプ氏には、中東からの米軍撤退を訴えている手前、新たな戦争を始めれば11月の大統領選で不利になるとの計算が働いたとみられる。

 自国や自身の都合を優先するトランプ氏の相変わらずの手法には、暗たんたる思いだ。イランとの対立激化の原因となったイラン核合意からの一方的な離脱も、オバマ前政権の成果を否定することで選挙戦を有利に戦う目的があった。

 今回の司令官殺害にも説得力のある説明はなく、出口戦略まで見通して考えた形跡はない。これ以上、安全保障や核不拡散という重大な問題に対する場当たり的な対応は許されないと自覚すべきだ。

 米国は今後、イランに対して核保有を認めず、新たな経済制裁で圧力をかけ続ける方針を示している。一方イランは無制限にウラン濃縮を進めると発表しており、対立解消の兆しは見えない。偶発的な衝突の危険性はなお残っている。両国はまず、対話のテーブルに着くところから始めなければならない。

 対立に毅然(きぜん)とした態度で臨むべき国連安保理が機能していないのも問題だ。昨年末の在イラク米大使館襲撃事件で、常任理事国のうち中国とロシアが非難声明を出すことを拒否するなど対応が割れている。安保理には大国の覇権争いを持ち込むことなく、緊張緩和へ結束した行動が求められる。

 日本政府は、海上自衛隊の中東派遣について「現地の情勢を見極めながら準備に万全を期したい」とし、派遣の方針を変えていない。しかし、情勢は不安定なままで、不測の事態発生の懸念は残っている。国会での審議も尽くされておらず、野党は派遣中止を求めている。政府は再検討に踏み切るべきだ。

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