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社説

日米首脳会談 米中対立緩和へ主体的外交望む

2021年4月19日(月)(愛媛新聞)

 菅義偉首相とバイデン米大統領は、ホワイトハウスで初めての対面による会談を行った。軍事的、経済的に大国化する中国を念頭に、一層の日米同盟の強化を確認する会談となった。

 

 バイデン氏が1月の就任後、外国首脳と対面会談するのは初めてである。その相手に日本を選んだのは「唯一の競争相手」とする中国をけん制する意味合いが強い。「新冷戦」ともいわれる米中対立は深まる一方だ。中国とも関係の深い日本は、難しいかじ取りを迫られるが、平和国家の軸をずらすことなく、緊張緩和へ主体的な外交に取り組むべきである。

 

 注目された共同声明には、中国が覇権的な動きを強める台湾海峡を巡り「平和と安定の重要性を強調する」と明記された。対中政策を「民主主義と専制主義の闘い」と位置づけるバイデン氏の強い意向が働いたのだろう。日米首脳の共同文書で台湾に言及するのは、冷戦期の1969年の佐藤栄作首相とニクソン大統領の会談以来、約半世紀ぶり、72年の日中国交正常化以降初めてであり、非常に重い。

 

 中国は「台湾は中国の不可分の領土」と主張し、台湾海峡で中国軍戦闘機が中間線を越えて台湾側に進入するなど軍事的な挑発を強めている。台湾周辺で緊張が高まり米中が衝突する事態になれば、沖縄をはじめ日本への影響は多大だ。

 

 バイデン氏は日本の防衛力強化に期待し、菅氏も応じる決意を示した。しかし、共同声明に記した「平和的解決を促す」姿勢こそ重要だ。日本は衝突回避に向け米中に自制を働き掛ける外交努力が使命である。

 

 中国・新疆ウイグル自治区や香港での弾圧など人権問題では日米で「深刻な懸念」を共有した。自由と民主主義を掲げる両国としては当然である。人権や国際的な約束を無視した対応は許されるものではなく、中国に対し、改善をより強く訴えていかねばならない。

 

 対中政策は、経済分野でも進む。日米は半導体のサプライチェーン(部品の調達・供給網)構築や次世代通信など先端技術の共同開発で合意した。米国は重要部材の中国依存度引き下げと技術力強化の両面で対中圧力を高める狙いがある。日本も経済安全保障の面から供給網の多様化は必要なことであろう。

 

 ただし米国との協力に傾きすぎると、包囲網を敷かれたと中国の反発を招きかねない。中国は最大の貿易相手国である。政治が経済に悪影響を及ぼさないよう慎重な対応が不可欠だ。

 

 北朝鮮の拉致・ミサイル問題や気候変動問題、新型コロナウイルス対策などでも協力を確認した。こうした課題は中国抜きには語れず、国際社会が連携していかなければ前進は難しい。日米両首脳も「中国との対話の重要性」は認識したとする。対話をなくしては不信が増幅するだけだ。日本は、つながりの深い隣人として、中国と粘り強く向き合い続けたい。

 

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