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社説

神奈川の逃走男逮捕 検察の失態 収容ルール明確化を

2019年6月27日(木)(愛媛新聞)

 窃盗罪などで実刑が確定しながら、刑務所への収容を免れようと逃走していた男が横浜地検に逮捕された。事件発生から逮捕まで丸4日近くを要した。

 地元の小中学校が休校したほか、逃走に関する情報伝達が遅れて住民らに大きな不安を与えた。失態を犯した検察の責任は極めて重い。実刑確定者の確実な収容方法や自治体への情報提供の在り方など、浮き彫りとなった問題を検証し、再発防止策を急がなければならない。

 男は一審で実刑判決を受け、控訴後に保釈された。2月に高裁で実刑が確定したが、地検からの再三の出頭要請に応じず、4カ月が経過していた。

 収容に当たり、男の自宅アパートには横浜地検の事務官5人と厚木署員2人で訪れたが、男が包丁を振り回すなどして逃げた。男の罪には覚せい剤取締法違反もあり、逃走後に自宅からは注射器が見つかった。これまでの経緯を踏まえると、抵抗することも予測できたのではないか。署員は拳銃を所持していなかった。装備や人員態勢を見直す必要があろう。

 男が刃物を持っていたにもかかわらず、地検の対応が後手に回り、逃走を公表したのが約3時間後だったことも危機意識の低さを示している。事件を受けて、神奈川県厚木市長らが、迅速な情報共有ができる仕組みの創設を求める要望書を法務相に提出した。問題は神奈川にとどまらない。国は速やかに公表する体制の構築が急務だ。

 釈然としないのは、判決の確定から地検が収容に動くまで4カ月もかかった点だ。この間の対応が適切だったかどうかの検証が欠かせない。実刑確定後の収容方法には統一的なマニュアルがなく、各地検の運用に委ねられている実情がある。手続きを迅速かつ適正に行うためにも最高検は収容までの期間や方法についてルールを明確にすることが重要だ。

 今回の事件のように、刑務所への収容前に逃げた実刑確定者は「遁刑(とんけい)者」と呼ばれ、昨年末時点で26人いる。現在は呼び出せば出頭してくるという「性善説」に立っており、検察が出す「収容状」では、携帯電話の利用履歴などを調べることができないなど、逃走は想定されていない。確実な収容に向け、出頭を拒否すればペナルティーを科したり、保釈中に起こした犯罪の刑を重くしたりするといった意見もあり、この機会に議論を深めたい。

 保釈を認めた裁判所の判断の妥当性を疑問視する声も一部にあるが、今回の事件とは別問題として考えるべきだ。2009年の裁判員制度の導入をきっかけに、裁判官が保釈を認める傾向が強まり、保釈率は18年が32.5%と10年の倍近くまで増えている。「人質司法」を解消しようという改革の一環であり、過度な身体拘束で人権を制約しないためにも、今回の事件によって流れを逆戻りさせることがあってはならない。

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