ログイン
Myページ
Myページ

愛媛新聞ONLINE

2020
715日()

ログイン
Myページ
愛顔会員Myページ
MENU

社説

地元の懸念に応える姿勢が必要

2020年7月15日(水)(愛媛新聞)

  JR東海は、リニア中央新幹線の東京・品川―名古屋間について、2027年の開業が難しくなったと表明した。静岡県のトンネル工事を巡り、県との協議が難航しているためだ。

  県は、南アルプスを貫く掘削工事で大井川の流量が減る恐れがあると主張している。流域60万人の生活や産業を支える「命の水」と位置づけており、慎重になるのは当然といえよう。

  環境対策に関し、JR東海はデータなどを示して説明してきたが、理解は得られていない。このまま前のめりに進めようとしても反発を招くだけだ。同社は工期ありきでなく、地元の懸念に丁寧に応えていくよう姿勢を改めなければならない。

  リニアは、災害時の代替輸送手段や、都市間を短時間で結ぶことによる経済活性化が期待されている。延伸する大阪までの総工費9兆円のうち、国の財政投融資3兆円を活用する「国家プロジェクト」だ。

  静岡工区の早期着工を目指すJR東海は6月下旬、金子慎社長が川勝平太知事と会談し、トンネルを掘る本体工事に先立つ準備工事を始めたいと同意を求めた。その後、仲介役の国土交通省も工事容認に向けて手続きなどの提案を行ったが、いずれも川勝知事は認めなかった。理由は「準備工事は本体工事と一体」と捉えているからだ。

  ひとたび準備工事を開始すれば、なし崩し的に工事が進む可能性があるという懸念はもっともだろう。国交省は提案で、トンネル掘削には県知事による占用許可が必須であるなど、制度的にも「なし崩し」にはならないことは担保されていると説明している。しかし、工事が進むほど軌道修正が難しくなることは容易に想定できる。

  国は環境対策に関する有識者会議を設置し、4月から議論を始めている。JR東海は、詳細なデータを提示して質問に応じているが、数値は確定的なものではなく、解析方法にも疑問の声がある。将来の予測が難しい案件であり、不測の事態に備えることが重要だ。影響を最小限に抑える対策を練り、説明を尽くすことが欠かせない。

  川勝知事は、会議の結論が出るまで準備工事を始めないのは当然だとの考えを示している。JR東海や国は意向をくみ取るべきだ。知事が「ルート変更も一つの案だ」と発言したことも注視したい。静岡工区に関しては当初、迂回(うかい)案があったものの最短ルートにこだわった経緯がある。生活環境や生態系への影響に関わる問題であり、予断を持たず検討する姿勢が求められよう。

  新型コロナウイルスの世界的な感染拡大など、リニアを巡っては、計画当初とは取り巻く環境が大きく変化している。外国人観光客の回復が見通せないほか、東京一極集中の見直しで、高速移動の必要性も薄らぎつつある。JR東海や国は、巨額の投資に見合う効果の検証を不断に続けなければならない。

    過去の社説一覧へ

    ※社説・地軸は、未ログインの方は当日分、アクリートくらぶWEB会員は7日分、読者会員は制限なしでご覧いただけます。

    <プレスリリース>一覧

    愛媛の主要ニュース

    トップ10ニュース

    愛媛の情報なら、愛媛新聞のアプリ。

    欲しい情報をいつでもあなたにお届け!プッシュ通知機能も充実。