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社説

テロ対策遅れ原発停止 安全性への甘い姿勢を改めねば

2020年3月30日(月)(愛媛新聞)

 九州電力は、鹿児島県の川内原発のテロ対策施設「特定重大事故等対処施設」(特重施設)が期限に間に合わないため、1号機の運転を停止した。完成遅れによる原発停止は全国初となる。年内には同様の理由で川内2号機と福井県の関西電力高浜原発3、4号機が停止する予定で、四国電力伊方原発3号機も来年3月の期限から1年程度遅れる見通しとなっている。

 放射性物質を扱う原発はテロのリスクが大きい。対策施設が完成していない以上、停止は当然といえる。期限に間に合わなかった背景には、電力会社の安全性に対する甘い姿勢があったと言わざるを得ない。業績にとらわれ、安全を置き去りにするようでは信頼回復は遠いと自覚すべきだ。国の原子力規制委員会は、今後も施設の安全性や有効性について厳しくチェックしていく必要がある。

 特重施設は、航空機を衝突させるようなテロ攻撃を受けた場合でも、核燃料の冷却を続けられるようにする役割がある。100メートル程度離れた場所に冷却ポンプや非常用電源を配備し、緊急時制御室から遠隔で原子炉などを操作する。東京電力福島第1原発事故を踏まえた新規制基準で設置が義務付けられた。

 2013年の施行当初は、設置期限を「一律5年」としていたが、その後「原発本体の工事計画の認可から5年」に延長された。それでも工事が遅れ、電力各社は再延長を求めたが、規制委が認めなかったため運転停止に至った。

 この規制委の対応は、福島原発事故を機に厳しく指摘された電力会社とのなれ合い構造への反省の上に立っている。原発停止による業績の悪化といった電力会社の事情を切り離し、安全性を重視した判断は常識的といえる。規制委は今後も独立性を担保し、電力会社と緊張関係を保つことが欠かせない。

 一方、懸念されるのは特重施設の建設作業で多発している事故だ。高浜原発では作業員の死亡事故や9人が重軽症となる事故があった。伊方原発でも作業中の人身事故が昨年12月までに4件発生している。完成を急ぐあまり作業員の健康や安全の管理がおろそかになることは決して許されない。

 原発の制御の中枢機能を備える特重施設は、運用にも細心の注意を払わなければならない。テロ防止の観点から公開される情報は限られるが、新たな操作ルールや訓練の実施状況などについて、外部からチェックを受ける仕組みが求められる。

 特重施設の影響に限らず、伊方3号機は司法判断で運転再開のめどが立たないなど、原発が電気の安定供給に果たす役割は揺らいでいる。巨額の安全対策費や使用済み核燃料の処理費などでコスト面でも優位とはいえない。このまま原発を「重要なベースロード電源」とするのは現実的ではない。原子力政策の見直しは待ったなしであると、改めて指摘しておきたい。

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