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2017
224日()

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地軸

柳そよぐ古代道

2017年2月24日(金)(愛媛新聞)

 幼いころ、松山の「中の川」沿いでよく遊んだ。清流と、さやさやそよぐ柳並木。芽吹きの春はみずみずしい緑が輝いて殊に美しく、夏になると涼に親しんだ。地下駐車場建設で風景が変えられる前の、懐かしい記憶▲

 そんな柳の並木が古代にもあったという。鳥取市の青谷横木遺跡の官道「山陰道」跡に沿って、平安時代に植えられたとみられる柳の街路樹跡がみつかった。100メートルほど続いていたらしい▲

 柳の街路樹は、奈良時代に中国・唐の都長安に倣って平城京に植えられていたと伝わる。文献によると地方にも平安以前に取り入れられたとか。官道といえば国家が建設した都と地方を結ぶ大動脈。格式の高さの表れと専門家が考えるように、緑美しい景観で旅人の心を捉えたかもしれない▲

 「春の日に張れる柳を取り持ちて見れば都の大路し思ほゆ」。芽吹く柳を手に取ると、都が思い出される―。奈良時代に越中、現在の富山県に国司として赴任した大伴家持の歌が万葉集にある▲

 都から遠く離れた地で政務をつかさどる中、四季折々の情景を詠み、暮らしを愛したとされる家持だが、やはり望郷の念に涙する日もあったろう。長安では旅立ちに際して柳の枝を折り、はなむけにしたというが、その文化も伝わっていただろうか▲

 街路樹の「発見」で古代の風景が彩色されて見えてくる。人々の生活も浮かんでくるようで、いつの世も変わらない心模様に思いをはせる。

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