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映画の設計書

2018年7月22日(日)(愛媛新聞)

 農民が侍を雇う―。戦国時代の武者修行について説明を受けていたとき、このエピソードを聞いて、映画監督と脚本家は顔を見合わせて言った。「できたな」「できました」▲

 「侍の数は」「3、4人は少な過ぎる。8人は多い、7人ぐらいだな」。映画「七人の侍」は、こうして始まったという。脚本を黒沢明監督と共同執筆した脚本家の橋本忍さんが100歳で亡くなった▲

 橋本さんは自伝「複眼の映像 私と黒澤明」で、名作を着想した場面を記した。脚本を書き終えて、思った。「これからの自分には、どんなものでも書ける」。体力を使い切り、最後は気迫と気力だけで成し遂げたからこそ達した心境なのだ▲

 「自分なりの定規とコンパスをつかんだな」。亡くなった師匠で松山市出身の伊丹万作監督が脳裏に浮かび、声を掛けられた気がしたという。「シナリオとは、読み物ではなく映画の設計書」を師の教えとしていた。自信ある作品を完成させたことを評価してほしかったのだろう▲

 黒沢、橋本の名コンビをつないだのも県人だ。伊丹監督の門下生で松山市出身の佐伯清監督が、知人の黒沢監督に橋本さんの脚本を見せた。そして、2人の初めての共作となる「羅生門」が生まれた▲

 橋本さんは、優れた映画の条件に、複数の目による完成度の高い共同脚本を挙げる。精密に設計された構成の下、個性的な人間を描写する。だから黒沢映画は心躍り、色あせない。

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