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地軸

顔のない文書

2017年6月27日(火)(愛媛新聞)

 「役所の仕事は組織を存続させること。そして先輩たちの再就職先確保」。30年ほど前に農林水産省を辞めた官僚の嘆きを最近改めて思い出す。霞が関の体質は今も変わっていないようだ▲

 大洲市出身の河辺啓二さん。その後、母校の東京大に再入学、医師になった。官僚生活9年の成果として、ある法律を立案、成立させたことを挙げたものの、条文に名前が載るわけではない。「ほとんど自己満足の世界ですが」と自嘲気味に話した▲

 「行政は本来国民のためであるべきなのに、業者のための仕事が多かった」と河辺さん。近ごろは「官邸のため」の仕事も加わったようだ。作成者や日時がない箇条書きの文書を作り、外に漏れれば「怪文書」にされる▲

 英国は違う。一つの政策に関して担当省庁が原案をつくり、国会審議を経て決定に至るまでの文書が、すべて官僚の署名入りで系統的に保管されている。公文書館を訪れた久保亨信州大教授が「国家と秘密」(集英社新書)で紹介する▲

 一つ一つの政策に対する官僚の個人責任まで明確にして後世に残している英国。まったく正反対の日本の公文書を「顔のない文書」と表現する▲

 加計学園問題に業を煮やしたのか、菅義偉官房長官は各省庁の行政文書と個人メモの「線引きを見直す」と宣言した。要は、不用意に文書を残すなという圧力。自分の仕事に誇りを持ち、堂々と名前を残したい官僚もたくさんいるはずなのに。

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