[発信!松山盲学校生記者]「科学へジャンプ!」体験記 実験 視覚に頼らぬ工夫
2023年10月30日(月)(愛媛新聞)



保護メガネや軍手を着用し化学実験に挑戦する筆者(左)

保護メガネや軍手を着用し化学実験に挑戦する筆者(左)
視覚に障がいのある児童生徒を対象にした「科学へジャンプ!イン松山」が9月17日、松山盲学校で開催された。中四国から参加した21人が、視覚に頼らないワークショップを通じて科学の面白さにふれた。
「科学へジャンプ」は視覚障害教育に携わる教員らが全国で実施し、愛媛での開催は5年ぶり。愛媛のほか岡山、広島、山口、徳島、香川の小学2年~高校3年生が体験や触察に挑戦した。
私は「サリチル酸メチルを作ろう」というワークショップに参加した。湿布薬に使われる物質を作る化学実験。中学以来、久しぶりの実験でわくわくした。試験管やビーカー、駒込ピペットなどの器具を使い、慎重に薬品を取り扱った。反応が進むと湿布のにおいが出たので分かりやすかった。
指導者の鳥山由子先生は、中身が飛び散らない試験管の振り方や、保護メガネの着用、色の変化を音で表す感光器など、視覚に障がいがあっても安全に実験できる方法を紹介してくださった。
徳島県立城ノ内中等教育学校4年の谷野未來さんは「授業で学ぶ前に体験できてよかった。学校で習うのが楽しみ」と喜んでいた。
沖縄美ら海(ちゅらうみ)水族館の学芸員によるサメ標本の触察体験では、ザラザラのサメ肌が水の抵抗を抑える機能を持つことを知り、捕食するものによって歯の形や向きが違うことも学んだ。
いろいろな道具で音を作り出す実験、加工した樹木で年輪を触る体験、スライムづくりなど10のワークショップがあった。
日本視覚障害理科教育研究会会長の鳥山先生は「科学へジャンプ」地域版の発起人でもある。「見えないからできないではなく、環境や道具などを工夫すればできることがいっぱいあるし、その工夫は見える人にとってもいいこと」と強調し「実験を通して科学を好きになってもらえたらうれしい」と呼びかけた。(杉山新)


【目線】
【高等部2年】
僕は科学が得意ではないが、このイベントで科学の楽しさに気付くことができた。また普段の少人数の授業と違い、学校や学年を超えたグループで体験することができた。来年度の香川大会もぜひ参加したい。(s)
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