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尾道市にはド派手広告バスがなぜ多いのか(中国新聞)

2022年6月19日(日)(友好社)

窓や後部まで大胆にデザインされた路線バスの車両

窓や後部まで大胆にデザインされた路線バスの車両

JR尾道駅前ロータリーを走るフルラッピングの路線バス(手前)

JR尾道駅前ロータリーを走るフルラッピングの路線バス(手前)

窓や後部まで大胆にデザインされた路線バスの車両

窓や後部まで大胆にデザインされた路線バスの車両

JR尾道駅前ロータリーを走るフルラッピングの路線バス(手前)

JR尾道駅前ロータリーを走るフルラッピングの路線バス(手前)

 広島県尾道市中心部を走る路線バスが近年やたら派手だ。車体全体を包むようなラッピング広告に、巨大なアニメ調のキャラクターや実物大に近いボートやバイクの写真が飛び出すように載っている。県内では、ここまで派手な路線バスは見かけない。風光明媚(めいび)なまちで何が起きているのか。調べてみると、尾道には他都市にはない「マイルール」があった。

 

 まちの玄関口のJR尾道駅前ロータリーに立っていると、ど派手なバスが目の前に止まった。側面の窓部分まで葛飾北斎が描くような白波がうねり、両手を口の横に添えた女性が「のまれるな!のみこめ!」と叫ぶイラストが躍る。なかなかのインパクトだ。他にも次々とやって来た。

 

 東京からサイクリングに訪れたという20代の会社員女性2人組に感想を聞いてみた。2人は「かわいい」と口をそろえつつ、「島でのんびりしに来たからイメージとは違う」「もう少しシンプルな方が古い街並みに合うかな」とも話した。

 

 バスを走らせているのは、市の第三セクター「おのみちバス」(尾道市東尾道)。窓ガラスや窓枠の上まで包むフルラッピングが8台、窓下や側面だけも含めると計15台が稼働している。同社営業課の木村靖義課長は「見た人に元気を与え、収益アップにもつながる」と強調する。景観と周囲の安全運転に配慮し、車の前面は対象外にするなど気も遣っているという。

 

 広告代理店の鉄道広告(同)などによると、派手なラッピング広告のバスが増えているのは大型のシールタイプ広告の施工設備が近隣事業者に充実したことが一因らしい。池田憲泰社長は「印象に残りやすく、問い合わせも増えている」。業界関係者によると、特に尾道市は中国地方有数のにぎやかさだという。

 

 なぜなのか。その背景には、バス広告を巡る規制がある。バス広告は屋外広告物に当たり、景観保護のため自治体の条例や規則で規制の対象になっている。広島県は、乗合自動車(バス)の窓やドアのガラスへの表示、蛍光色の使用などは認めていない。市町によって独自の規制を設けることもでき、広島市や福山市は掲示場所やサイズをより細かく制限している。

 

 尾道市は2005年、建造物や看板の設置について独自に規制する権限を持つ「景観行政団体」に移行。景観計画や関連条例を定めた。その中で車両や船の広告は規制から外している。バス広告を規制していない市町は県内で唯一だ。

 

 一方で、尾道市は「尾道水道や古い街並みなどの景観は財産」とし、景観施策に熱心な自治体とされる。矛盾はないのだろうか。

 

 担当の市まちづくり推進課に聞いたが、バス広告を規制の適用外とした経緯は分からなかった。市民からの苦情などはないとしつつ、条例を定めた07年当時には想定しなかった広告が登場してきたと認めた。その上で「路線バスは常に同じ場所にあるわけではない。景観とのバランスがとれた上でにぎわいにもつながっている」とする。

 

 実際に走っているラッピング広告のバスをよく見ると、企業色だけが前面に出ているわけではない。「因島から世界へ」と地元愛を掲げた総合機械メーカーもあり、過去には特産のレモンやネコのイラスト、大勢の市民の顔写真のデザインがあったという。

 

 バスを週2回以上利用する市内の40代女性は「新型コロナウイルス禍でうつむきがちだけれど、気分が上がる。こんな面白い会社があるのかと…。住んでいるまちを改めていいなと思った」と語っていた。見る人の心の持ちようも大事なポイントかもしれない。(中国新聞)

 

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