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INAC神戸日本一、もう一つの物語

 

「こうしてサッカーの仕事ができるのは当たり前ではない」と話す加地

「こうしてサッカーの仕事ができるのは当たり前ではない」と話す加地

 

「こうしてサッカーの仕事ができるのは当たり前ではない」と話す加地

「こうしてサッカーの仕事ができるのは当たり前ではない」と話す加地

 

 女子のプロサッカーWEリーグで、栄えある初代女王に名を刻んだINAC神戸レオネッサ。優勝を決め、スポットライトを浴びる監督や選手たちのそばに一人の女性がいた。チームマネジャーの加地和(のどか)、24歳。普段は日の当たることのない裏方だ。優勝チームを支えてきた彼女の横顔に迫る。
(敬称略、小田良輔)

■愛媛で見た「なでしこ」

 

WEリーグ初代女王に輝いたINAC神戸=5月8日、相模原ギオンスタジアム(共同)

 5月8日、神奈川県の相模原ギオンスタジアム。INAC神戸はアウェーで3-0と快勝し、WEリーグの初代チャンピオンに輝いた。歓喜に沸く選手たちの輪に、マネジャー加地の姿もあった。「ただただうれしくて、夢のよう。いろんな感情がこみ上げてきました」

 初代女王を支えるマネジャーはかつて、サッカー少女だった。愛媛県新居浜市で生まれ、ボールを蹴り始めたのは小学校6年、いとこの影響だ。新居浜西中学校で入ったサッカー部に、同じ学年の女子部員はいなかった。授業が終わると男子に交じって練習し、走るのが速かったため公式戦でスタメンに起用されることもあった。

 中学2年だった2011年は日本の女子サッカー界にとって、それに加地にとっても印象的な年になる。日本代表「なでしこジャパン」がドイツワールドカップ(W杯)で初優勝。澤穂希、川澄奈穂美らがいた代表チームが欧州に渡る前、国内最後の合宿を行ったのが、加地の住む新居浜市だった。

 

2011年に愛媛で合宿を行った「なでしこジャパン」。当時中学生だった加地は見学に訪れていた=グリーンフィールド新居浜

 「グリーンフィールド新居浜での合宿も、ニンスタでの韓国との国際試合も見に行きましたよ」。愛媛で見た光景は、今も忘れられない。憧れの選手たちを間近に見つめ、「いつか自分も」と夢を抱く。当時から代表選手が多くプレーしていたINAC神戸は、加地の最も好きなチームになっていた。

■予想外の進学とけが

 高校は女子サッカー部のある小松高校(愛媛県西条市)に進学。FWや左サイドハーフなどで3年間プレーを続けたが「結果らしい結果を残せず」に引退。大好きな地元で就職しようと考えていた。高校3年の夏の日、母から意外な言葉をかけられる。「自立のために一度は県外に出てほしい」

 母の後押しもあって地元から近い岡山県の吉備国際大に進学した。目標としていた教員免許をはじめ、多くの資格を取れる環境も魅力だった。しかし、女子サッカー部に入って1年目の夏に腰を痛める。病院でヘルニアと診断され、勧められたのは1年かけてのリハビリだった。「正直、1年待ってまでサッカーを続ける気持ちがなくて…」。あっさりと競技から離れることを決めた。

 サッカーをやめて教員になるために勉強したい―。監督にそう伝えると、予想していない提案があった。

 「リハビリを頑張るか、それともマネジャーになるか」

 数日後、加地はマネジャーとしてグラウンドにいた・・・

新たな一歩を踏み出した加地。さまざまな制約がある中、懸命にサポートを続けていると衝撃のオファーが届いた。

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