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愛媛出版文化賞<5>奨励賞/第1部門 研究・評論 松田久司、辻幸一氏

2022年1月21日(金)(愛媛新聞)

「図鑑を手に川で魚を探す子どもが増えてほしい」と願う松田久司さん(左)と辻幸一さん

「図鑑を手に川で魚を探す子どもが増えてほしい」と願う松田久司さん(左)と辻幸一さん

[「肱川上流の魚図鑑」(特定非営利活動法人かわうそ復活プロジェクト)]

 

【24種 色や形違い紹介 川で遊ぶ子増やしたい】

 

 身近な自然を調査、紹介している松田久司さん(65)=八幡浜市、辻幸一さん(66)=大洲市=はこれまで八幡浜市の川や小田川の川魚を紹介する図鑑を出版している。「肱川上流の魚図鑑」の受賞を、松田さんは「継続的な活動が評価されたかな」と受け止めた。今後、肱川の中下流の図鑑もまとめる計画だ。

 

 松田さんは横浜市に住んでいたころ野鳥など自然を観察するグループに所属し調査のノウハウを学んだ。2006年に八幡浜市に帰郷してNPO法人かわうそ復活プロジェクトに参加し、小学生の川辺の生物観察を手伝って以降、川と関わり始めた。1970年代から肱川などで川魚の調査を続ける元高校教諭の辻さんと出会い、共同で論文を発表してきた。

 

 調査は松田さんが採集を担当し、辻さんに標本を見せ意見交換しながら分類、解説した。捕獲方法は「ガサガサ」。音を立てながら川底の石をどけたり、川岸の植物を動かしたり。隠れていた魚が驚いて逃げると玉網ですくい上げる。

 

 図鑑では2009年ごろ以降、鹿野川ダム(大洲市)の上流、主に西予市の川で採集した24種類を紹介した。一般人が川で出合う魚はほぼ網羅したという。魚は標本にするほか、アクリル製水槽に入れ撮影。頭部のアップなど、色や形の違いを丁寧に紹介する。特に上から魚の姿を撮った写真を掲載する図鑑は珍しく「役に立つ」と好評という。

 

 「ぱらぱらとめくって楽しめる本にしたい」とコラムを充実させた。特定外来種を紹介する欄では「オオクチバスやブルーギルの放流は(法律)違反になる」と警鐘を鳴らす。

 

 松田さんと辻さんは、子どもが川で遊ばなくなった現状を憂う。「魚の名前を知れば親近感につながる。魚を見つけて遊んだ子は、川の環境も大切にするようになる」(松田さん)。身近な川で、図鑑を手に魚を探す子どもが増えてほしいと願う。(今西晋)

 

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