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11月はNIE月間 県内4校の取り組み

2021年11月3日(水)(愛媛新聞)

 11月は教育現場で新聞を活用する「NIE(教育に新聞を)」を推進するNIE月間。日本新聞協会は2021年度、全国の小中高校など541校を実践指定校に認定した。23年に松山市で開かれるNIE全国大会に向け、県内は例年よりも多い12校が指定されている。このうち小中高4校の実践例を紹介する。身近な地域の話題から国際問題まで伝える新聞を読んで、より深く調べたり、自分の意見を持ったり、行動につなげたり。子どもたちの知識や世界が広がっている。(梅林恭子)

 

新聞記事で見つけたカタカナの言葉を披露し合う宮前小の児童

新聞記事で見つけたカタカナの言葉を披露し合う宮前小の児童

新聞記事で見つけたカタカナの言葉を披露し合う宮前小の児童

新聞記事で見つけたカタカナの言葉を披露し合う宮前小の児童

【松山・宮前小 低学年、紙面に親しむ カタカナ探しに興味津々】

 

 低学年の児童は新聞は難しいと感じる子が多く、進んで楽しく関わる取り組みには工夫が必要だ。宮前小学校(松山市祓川1丁目)の1年生35人は国語の授業でカタカナを学び始めたばかりの9月中旬、新聞記事からカタカナ表記の言葉を探し、紙面と親しみながら学びを深めた。

 

 「コロナウイルスあった!」「どこどこ? あ、ピーマン見つけた!」。児童は机いっぱいに広げた新聞と「カタカナ表」を見比べながら声に出して読み、単語を丸で囲んだ。

 

 見つけた単語を大きく書いた紙が黒板にずらりと並ぶと、担任の高平里美教諭が「よく見ていると、何か気付くことはありますか」と問い掛ける。ドイツ、フランス、イタリア、ブドウ、ナシ、リンゴ…。児童は「仲間がいっぱい」と声を上げ、国名、食べ物などに分類する。

 

 男子児童(6)は「知らない言葉もあったし、もっと探してみたい」。女子児童(7)も「言葉がいっぱいあって面白かった」と興味を持った様子だった。

 

 クラス内のアンケートで「新聞を読んだことがある」と回答したのは半数以下だった。高平教諭は「読み慣れていないからか、行をまたぐ単語は見つけにくそう」と分析。「文章に触れることで、カタカナ言葉を学ぶだけでなく分類も意識できる。低学年でも少しずつ新聞に触れていきたい」と活動を模索していた。

 

町内外から回収した古着のしみ抜きやアイロンがけに取り組む伊予高の生徒

町内外から回収した古着のしみ抜きやアイロンがけに取り組む伊予高の生徒

町内外から回収した古着のしみ抜きやアイロンがけに取り組む伊予高の生徒

町内外から回収した古着のしみ抜きやアイロンがけに取り組む伊予高の生徒

【松前・伊予高 プロジェクト参加 記事きっかけに社会貢献】

 

 知るだけじゃなく、行動しよう―。伊予高校(松前町北黒田)の生徒は新聞を使った学習で、県内の中学生が古着を集めた社会貢献活動の記事を読んだことをきっかけに、自分たちも町内外で古着の回収を呼び掛け、服を必要としている人に届ける活動に取り組んだ。

 

 同校では全校生徒がテーマに分かれて学習する「総合的な探求の時間」で、「人文社会」を選択した生徒のうち約30人が新聞で「身近な時事問題」を学んでいる。昨年度、環境や貧困問題をテーマに調べる中で目に留まったのが、今治市の中学生が古着を回収し、カジュアル衣料品店「ユニクロ」を通じて世界の難民に届けた記事。「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングが全国に参加校を募る「届けよう、服のチカラ」プロジェクトに以前から興味を持っていた生徒たちは、県内でも参加している学校があると知り情報が身近になった。

 

「服のチカラプロジェクト」の活動を発信するために記事を作成する生徒

「服のチカラプロジェクト」の活動を発信するために記事を作成する生徒

「服のチカラプロジェクト」の活動を発信するために記事を作成する生徒

「服のチカラプロジェクト」の活動を発信するために記事を作成する生徒

 「高校生にできる社会貢献をしたい」。2、3年生12人が声を上げ、同社のプロジェクトの参加に加え、地域にも還元できる活動を目指した。今春から始動した伊予高の「服のチカラプロジェクト」。生徒12人が母校の小中学校などに出向き、3千着以上の子ども服を集めた。活動に協力してくれた石田クリーニング(伊予市)で、プロから教わったしみ抜きや洗濯、消毒にも挑戦。受け取った人が気持ちよく着られるように仕上げた。約千着は「ユニクロエミフルMASAKI店」に送り、残りの2千着は地域で活用しようと10月から無償の譲渡会などを開催している。10月下旬には学校新聞でこれまでの活動報告や譲渡会の周知のための情報発信をしようと記事作成をした。

 

 参加した2年の女子生徒(16)は「地域の人と関わる機会はなかなかないけど、自分たちで試行錯誤しながら行動に移したことで世界が広がった」。他の女子生徒(16)は「想像以上の数が集まった。何かの形で協力したいと思っている人がいることを実感した。活動を後輩に伝え、長く続けていける取り組みにしたい」と力を込めた。

 

 11月にも文化祭で歳末助け合い募金に寄付するための古着の販売や、松前町総合福祉センターでの譲渡会を予定している。

 

新聞記事と問題がセットになったワークシートを活用する浮島小のNIEタイム

新聞記事と問題がセットになったワークシートを活用する浮島小のNIEタイム

新聞記事と問題がセットになったワークシートを活用する浮島小のNIEタイム

新聞記事と問題がセットになったワークシートを活用する浮島小のNIEタイム

【新居浜・浮島小 ワークシート活用 読解力高める朝の15分】

 

 朝の15分間を使って児童の知的好奇心や読解力を高めようと、浮島小学校(新居浜市八幡2丁目)は、新聞社がNIE用に開発している記事と問題をセットにした「ワークシート」を活用している。

 

 同校は登校後、朝の会が始まるまでの短い時間を隔週でNIE活動に充てている。10月中旬、3年生約15人に、タブレット端末などからアクセスできるサイト「愛媛新聞forスタディ(愛称・ⓔスタ)ニュース学習帳」の低学年向けのワークシートが印刷され配られた。

 

 記事は、宇和島市有形文化財の旧庄屋毛利家住宅(同市三間町是能)で8月上旬、1904(明治37)年製造の「長生きオルガン」の伴奏に合わせ地元児童が歌を披露したコンサートを紹介した内容。コンサートのタイトルや歌の曲名など3カ所に空欄があり、そこに共通する4文字の言葉を入れるなどの問題が出されている。

 

 児童は何度も記事を読み返し、空欄の前後の文や問いの「1年生で習う曲」などをヒントに頭をひねった。「たなばた」という正解を導き出した女子児童(8)は「記事の中にあった知らない言葉を覚えることができてうれしい」。同校NIE担当の山本真里奈教諭(29)は「記事で知識や興味を広げるだけでなく、問題を解くことで読み取った内容を確認できる」とワークシートの効果を語った。

 

新聞記事を読み、自分の考えや意見を加えて発信した三津浜中の生徒

新聞記事を読み、自分の考えや意見を加えて発信した三津浜中の生徒

新聞記事を読み、自分の考えや意見を加えて発信した三津浜中の生徒

新聞記事を読み、自分の考えや意見を加えて発信した三津浜中の生徒

【松山・三津浜中 気になるニュース掲示 生徒目線で情報の再発信】

 

 三津浜中学校(松山市若葉町)の廊下の一角には、3年生約180人が夏休み、社会科の課題で取り組んだ新聞の「気になる記事の紹介文」を掲示している。地球温暖化問題や通学路の交通安全対策など、選んだ記事をA3用紙に貼り付け、残りのスペースに記事内容について調べたことや自身の考えなどを書き加え、見出しも付け、生徒目線でニュースを「再発信」している。

 

 「地球がヒートアップ! 地球温暖化と向き合っていくには…!?」「あなたの意識で危険を回避 不安のない通学路に向けて」。掲示された紹介文には、記事を身近な問題として捉えてもらおうと生徒たちがひねり出した見出しが並ぶ。今夏、世界中で異常高温が観測されたニュースに着目した男子生徒(14)は、二酸化炭素の削減に向けた一人一人の努力と暑さ対策の重要性を強調。「世界気象機関(WMO)が現状報告」の「硬派」な記事とともに東京五輪の暑さ対策として発表された、頭にかぶる日傘「斬新!傘帽子」の記事も紹介。「(読まれるには)軟らかいネタもあった方がいいかなと思った」と工夫を説明する。

 

 女子生徒(15)は6月に千葉県八街市で下校中の小学生5人が大型トラックにはねられ死傷した事故の記事に関連し、県内の小中高生の交通事故統計で特に中高生は登下校時が最も多いことを指摘。「読む人に、自分の通学路は安全かどうか、事故防止のための行動について考えてもらいたかった」と語る。

 

 新型コロナウイルス下での東京五輪開催、学校生活などをテーマにした作品も。「学生、我慢の時期!?コロナ禍の新学期」の女子生徒(15)は、「生徒の『青春』はどうなる!?」と小見出しを付け「五輪によって国と国の行き来が行われた。でも学校行事はできない、あるいは縮小されるだろう」と複雑な思いをつづっている。

 

 今回の取り組みのベースには、昨年11月から同校NIE担当の三好裕士主幹教諭が毎日発行し、校内のNIEコーナーに掲示している「気になる記事」がある。三好主幹教諭が選んだ記事の解説、意見や「ツッコミ」などを生徒は日々、目にしながら、記事の捉え方、意見の述べ方などを学んできた。

 

 三好主幹教諭は生徒に「読んで調べて整理して、自分の意見も書くという一連の動作の中に、読んでくれる人の顔を浮かべるという想像力が加わると、より楽しくまとめることができるはず」とアドバイスしていた。 

 

 【2021年度県内実践指定校】

 

■小学校 浮島(新居浜市)、宮前(松山市)、愛媛大附属(同)、小野(同)、新谷(大洲市)

 

■中学校 河北(西条市)、三津浜(松山市)、愛媛大附属(同)、久谷(同)、内海(愛南町)

 

■高校 伊予(松前町)、八幡浜(八幡浜市)

 

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