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新居浜一家3人刺殺

容疑者、橋の下で車中生活 同級生「近年で異変」

2021年10月15日(金)(愛媛新聞)

 愛媛県新居浜市で一家3人が刃物で殺害された事件で、殺人の疑いで再逮捕された河野智容疑者(53)は市内外の鉄工所などで働き、最近は車中生活を送っていたとみられる。「あまり人と関わらないタイプだった」と話す元同僚もいる。市内の小中学校で同級生だった男性(54)は複数の友人からここ数年、漏れ聞こえてきた河野容疑者の近況から「智が変わった」と感じていた。男性は嘆く。「智の人生に何があったんやろうか…」

 

 男性は市内の高津小学校と東中学校で河野容疑者と仲が良かった。中学卒業後はバイクの免許を一緒に取り、走りに出掛けるなど親密な付き合いを重ね、建設関係の現場で仕事を共にしたこともあった。

 

 その後、交流は減ったが新居浜太鼓祭りの会場で約6年前、ばったり出会った。河野容疑者は以前と変わらず、再会を喜んだ。

 

 男性が「何かがおかしい」と異変を感じたのは2、3年前。河野容疑者が複数の同級生に「自分を悪く言っている人がいないか」と何度も電話をかけていると知ったからだ。事件発生の約1週間前には別の同級生が国領川の橋の下で車中生活する容疑者を目撃。その変わりように「声を掛けられなかった」と聞き、身を案じていたところだった。

 

 今春には、河野容疑者の元同僚に「仕事はないか」と問い合わせる電話がかかっていた。元同僚は人手が足りていたため断ったが「雇っていれば事件は起きなかったのかもしれない」と悔やむ。

 

【保健所に情報提供5回 県「福祉的対応は困難だった」】

 

 新居浜市で一家3人が殺害された事件に関連し、県健康増進課は15日、西条保健所が2020年9月までに新居浜署から5回、河野智容疑者(53)=殺人容疑で再逮捕=に関する福祉的支援のための情報提供を受けていたと明らかにした。同課は「法律に基づく通報ではなく一般的な情報提供だった」とし、精神保健福祉法による調査や診察、措置入院などの対応は困難だったとの認識を示している。

 

 同課によると、19年11月から20年9月にかけ5回、署から保健所に河野容疑者に関し「電波攻撃を受けているなどと発言し、精神症状が疑われる人がいる。本人や家族に保健所への相談を勧めたい」などと連絡があった。所内で情報共有し対応する準備を整えたが、容疑者側から相談はなかった。

 

 市地域福祉課も、河野容疑者や家族からの相談は把握していないとしている。

 

 同法では、精神障害やその疑いのある人について警察などから通報があり、県が調査の必要があると認める際は、診察させなければならないと規定。診断の結果によっては措置入院させることができる。

 

 県警は一連の情報提供は通報ではなく、国のガイドラインに基づく相談と説明。河野容疑者に「体調が悪いのであれば医療機関を受診するよう助言した」としている。ガイドラインでは通報要件に該当しない場合、警察から支援に関する相談を受けた自治体が必要に応じ、相談に応じて本人や家族に医療施設を紹介するなど、必要な支援を受けられるよう積極的に対応することが望ましいとしている。

 

 県健康増進課は、こうしたケースで支援に動くには当事者や家族などからの相談が必要になると説明している。

 

【「冗談好きで朗らかな性格」 友義さんの元勤め先の社長、落胆】

 

 新居浜市で一家3人が殺害された事件で、亡くなった岩田友義さん(80)が長年働いていた新居浜市内の機械関係の会社の男性社長(51)は「冗談をよく言う人で、仕事を辞めてからも会社に時折遊びに来ていた」と振り返った。6~7月ごろにも一度顔を見せ、「また仕事やる?」と聞くと「あほ、心臓のバイパス手術したばかりや」と会話を交わしたといい、突然の悲報に驚きを隠さなかった。

 

 社長によると、友義さんは香川県観音寺市の伊吹島出身。中学卒業後、島で漁師をしていたが高度経済成長期に鉄鋼業に転職した。観音寺市と新居浜市の鉄工所を経て、1979年の同社創業時から働き始めたという。93年には福井県の原発で機械の据え付けの仕事をするため単身で新居浜市を離れた。95年の阪神大震災後は仕事が減り、新居浜市に戻って98~2016年に同社で再び働いていたという。

 

 よく冗談を飛ばす朗らかな性格で、孫がたくさんおり、市内の港へイワシを釣りに行った話などをたびたびしていた。亡くなった三男の健一さん(51)らについてはほとんど語ることはなかったが、元従業員が健一さんを「健坊」と言って仲良くしており「おとなしい人と聞いていた。周りから悪い話は聞いたことがない」と述べた。

 

 社長は「健一さんが一方的に恨まれたのではないか。友義さんは巻き込まれたのだろう」と声を落とした。

 

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