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道路は子どもの遊び場?(西日本新聞)

2021年9月26日(日)(友好社)

 

 新型コロナウイルスの感染拡大が続き、自宅にとどまる時間が長くなる日々。西日本新聞「あなたの特命取材班」に福岡市の40代女性から「自宅前の袋小路で子どもたちが遊んでいて騒がしい。道路って遊ぶ場所でしょうか」と苦悩の声が寄せられた。ニュースサイト「西日本新聞me」では、女性の意見に約1700人が共感し、100人以上が意見を寄せている。道路を遊び場にする“道路族”は近年、社会問題化している。その現状は-。

 

 女性は2019年に福岡市内の新興住宅地に転居した。念願のマイホームで、子どもたちに自分の部屋を持たせることができた。袋小路を取り囲むように住宅が建っていき、次々と引っ越しが進んだ。次第に、女性は騒音に悩まされるようになったという。

 

 平日は学校が終わってから日が沈むまで、土日は日中ずっと続くこともある。道路でドッジボールをしたり、スケートボードをしたり。プールを出して水遊びをすることもあった。誰かが遊び始めれば、他の子も家から出てくる。保護者は注意せず、一緒に遊んでいるように見えた。

 

 コロナによる緊急事態宣言が発出されると、女性は在宅時間が増え、いっそう騒音が気になった。道路に面する部屋を与えた子どもは幻聴を訴え、「家にいたくない」と漏らすようになったという。女性は学校や町内会、警察、区役所、住宅メーカーなど思い付く限りに被害を訴えたものの、「騒音では注意ができない」と言われた。周辺に注意喚起の張り紙などをしてもらっても状況は変わらなかった。「引っ越してきたことを後悔している」と嘆く。

 

 道路で遊ぶことは許されるのか。「西日本新聞me」に寄せられた意見の賛否は割れている。

 

 実際に道路族の被害に遭ったとする人からは、被害の深刻さを訴える声が相次いだ。「石川県匿名」さんは「絶対に嫌。お願いだから近くの公園で遊んでほしい」。別の投稿者は「住宅地は生活のリズムも家庭の事情も全く違う人たちで構成されており、近所に配慮するなんて当たり前だ。許容できないほどの音や迷惑行為に悩んでいると理解してほしい」と訴えた。

 

 一方、「道路を遊ぶ所ではないという点ばかり注目して考えれば、子どもたちの遊び場所を奪いかねない」と一定の理解を示す声も。ある投稿者は「道は元々場所をつなぐために自然発生したもの。路地で遊ぶ子どもたちの笑顔は世界中に存在する。騒音をどこまで許容するかは人それぞれ」と指摘。「しーんとした町は誰にも迷惑は掛からないが、そんな町には住みたくない」と付け加えた。

 

 騒音問題を40年以上研究している「騒音問題総合研究所」(青森県八戸市)代表で八戸工業大の橋本典久名誉教授(音環境工学)によると、道路族のトラブルが顕在化してきたのは、2000年代に入ってから。「うるささは、音の大きさよりも音を出す相手との人間関係に左右される。トラブルの原因は、騒音をどう受け止めるかという心理的側面の方が大きい」と指摘する。好意を持っている人が出す音なら、うるさく感じる意識は3分の1程度に抑えられるとの調査結果もあるという。

 

 橋本氏は「近隣との人間関係が構築できていない場合、子どもたちが騒いでいる音をよりうるさく感じてしまう。苦情を言うと、反発されて被害者意識が募る。騒がしさよりも、フラストレーションがトラブルの原因になっている」と指摘。コロナ禍で自宅にいる時間が長くなり、不安や不満がたまりやすい環境も影響しているとみる。

 

 橋本氏は言う。「騒音トラブルの防止には、音を出す側の節度、音を聞かされる側の寛容さ、相手の節度や寛容さを感じ取れるようなコミュニケーション-の三つが必要。日頃からの近所付き合いで良い関係を築くことが求められている」(西日本新聞)

 

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