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同窓会名簿、選挙活動に利用できるの?(西日本新聞)

2021年9月18日(土)(友好社)

同窓会名簿を基にして関係者に届いた諏訪辺峻氏の公選はがき(写真の一部を加工しています)

同窓会名簿を基にして関係者に届いた諏訪辺峻氏の公選はがき(写真の一部を加工しています)

 選挙期間中、知らない候補者から自宅に公選はがきなどが届くことはないだろうか。「なぜ個人情報を知っているのか」。疑問は湧く。そんな中、「同窓会の名簿が選挙活動に使われた。本人の同意なく使っていいのか」と西日本新聞「あなたの特命取材班」に情報が寄せられた。

 

 3月末、福岡県那珂川市の20代女性宅に公選はがきが届いた。数日後に投開票される市議選に立候補していた立憲民主党新人の諏訪辺峻氏からだった。

 

 「住所をどう入手したのか」。女性は疑問を抱き、後援会事務所に連絡すると「教え子のリストがある」と告げられた。

 

 諏訪辺氏は中学校の美術教師だった。学校は2011年3月末に離れたが、同じタイミングで卒業した教え子たちが成人式に合わせて同窓会を開こうと企画。メンバーから依頼があり、諏訪辺氏も事務局に入って手伝った。16年1月に最初の同窓会が開かれ、その後も数年間、関わり続けたという。

 

 「同窓会で集まった名簿から、150~200人の個人情報を選挙活動で使った」。同氏は取材にこう明らかにした。

 

 個人情報保護法では、自分のデータが目的外利用された場合など、保有組織に利用停止を要求できる。個人の権利を守るためだが、この場合は該当しないのだろうか。

 

 中央大の宮下紘教授(情報法)によると、政治活動は個人情報保護法で、報道や学術研究、宗教活動と並んで法律の適用除外となっている。「政治活動は民主主義社会において、広く認められるべきものだ。新型コロナウイルスの感染者リストなど、守秘義務が課されている個人情報などを除き、同窓会名簿も選挙活動に利用することは許容される」と解説する。

 

 同法は「政治活動の自由を妨げてはならない」として、個人情報の取り扱いを監視する政府の個人情報保護委員会に対しても権限行使を制限しており、同委員会も同窓会名簿の利用は許容されるとの見解だった。

 

 一方で同委員会は「名簿から削除要請があった場合、それに応じるのが一般的」と説明する。同法では、苦情処理などの対応策について「内容を公表する」ことを努力義務としている。

 

 削除依頼があった場合の対応策などについて、自らのホームページで基本方針を公開している地方議員もいるが、多くはないようだ。諏訪辺氏も基本方針は明記していなかったとしている。

 

 女性が他の卒業生に聞くと、同じように不信感を持つ人が少なくなかった。そのため諏訪辺氏に対し、今後は政治活動で利用しないことなどを仲間と一緒に求めていくことにした。

 

 諏訪辺氏は取材に「同窓会名簿を使い、不快な思いをされた方々には申し訳ない。選挙活動には金輪際使わない」と応じる考えを示した。ただ女性らは、不信感から同窓会名簿自体の提出を求めるなど両者の溝は埋まっていない。

 

 高まる個人情報管理への関心とその対応。あるベテラン地方議員は今回の件について「新人だと選挙に使う名簿がそろっていないので、検証せずに同窓会名簿を使ってしまったのだろう」と推察。「任期途中で支持者でなくなるケースもあり、『なぜ住所を使うのか』と問い合わせはある。利用を控えるのが基本で、決して個人情報保護法の適用除外だから、という言い訳はしない」と丁寧な応対を心掛けているという。

 

 宮下教授は「政治家の個人情報の取り扱いが不適切である場合、(有権者は)政治家の資質に対して選挙を通じて民意を反映するのが基本となるだろう」と話している。(西日本新聞)

 

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