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2022
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「アオアシ」作者の小林有吾さんインタビュー

 人気サッカー漫画「アオアシ」作者の小林有吾さん=松山市在住=が、12日発売の週刊ビッグコミックスピリッツで、スピンオフ作品「アオアシ ブラザーフット」の連載をスタートさせる。本編の主人公青井葦人の兄・瞬を主人公に、愛媛FCをモデルにした「アスレティカクラブ愛媛」のユースチームを描く。連載開始を前に、小林さんに作品や愛媛FCへの思いを聞いた。(聞き手・石川美咲)

 

小林有吾さんの自画像

 執筆のきっかけを教えてください。 アオアシを描き始めた当初「軌道に乗って好きなものを描かせてもらえるようになったら、愛媛FCをモデルにしたチームを描きたい」と思っていました。愛媛FCがサッカーを好きにさせてくれたから。
 本編は「東京シティ・エスペリオン」という架空クラブのユースチームを舞台にしています。リーグトップクラスの力を持ったクラブで、Jユースの魅力をフルに見せていますが、正直、そんなクラブはほんの一部。実際は、設備が全然整っていない弱小クラブの方がはるかに多いんです。華やかなクラブを紹介するだけではJユースを描くことにはならないと思っていて、モデルとして愛媛FCはうってつけでした。アオアシという作品を完成させるためにも、描かないといけないと思っていました。

 制作を始めたのはいつ頃ですか? 愛媛FCアカデミーダイレクターだった青野大介さん(現ゼネラルマネジャー)に初めて話を聞かせてもらったのが2015年か16年で、その頃から準備はしていました。18年ごろにプロットを書き始めましたが、あまりいい話が書けなくて、一度ストップしました。どれだけ考えても、面白い話が全然浮かばなかったんです。
 そこから転機になった瞬間があったんでしょうか? アオアシの連載と並行して、愛媛FCの元選手やスタッフの人たちにものすごく話を聞くんです。愛媛やサッカーに対する思いを語ってもらうことで、愛媛FCに対する思いが多角的になり、深みを持つようになりました。愛媛FCに対する思いが、連載開始当時よりも強くなった。それが「ブラザーフット」が動き出せた一番の理由だと思います。
 アオアシ本編との同時掲載はかなり大変だと思いますが、どのような制作の日々を送っていますか。 スケジュールを前倒ししたり、空いた期間を「ブラザーフット」の制作に充てたりして、うまく時間を組み合わせています。とてもずっとはできないです(笑)。
 1話を描き始めたのは去年の秋から冬にかけて。8月に5話分を収録した単行本が出るんですが、1巻を出せるめどがついたのが今年の春でした。愛媛FCの後押しをするなら、絶対にシーズン中の8月に単行本化したかった。そこからスケジュールを組み、今に至っています。ギリギリです。

 物語は短期集中連載の5話までですが、ここで完結するんでしょうか。 6話以降も続きますが、続きはいつ描けるか分かりません。第1部、という感じです。瞬が愛媛ユースに入るまでを描きます。
 一番読んでもらいたいのは、瞬が愛媛のトップチームの試合を見に行く第2話。弱いJチームの現状を描いています。

 そこで瞬が感じることが、小林さんの愛媛FCに対する思いと重なるということでしょうか。 第2話で、瞬は弱くて体力がないチームにもかかわらず、愛媛ユースに入りたいと思うようになるんです。それはなぜなのか? 愛媛FCのサポーターには、そこをぜひ読んでもらいたいです。
 弱いチームを応援して、負けるところばかり見せられるのは苦しい。みんなの気持ちを代弁しているとは言わないけれど、僕の思いは漫画で代弁できているはず。愛媛FCのサポーターなら、小さなJクラブのサポーターなら分かってくれると思います。

 惨めな気持ちになったり腹がたったりしても、次の試合も応援に行く。その気持ちを描いているということですね。 描いているはず。描ききったと思います。こう感じてほしい、と付け足すものはありません。読んでその人がどう思うかが答えだと思います。
 苦戦する愛媛FCのJ2残留を後押ししたいという思いも強くないと描けない作品ですね。 もちろんそうです。どうでもいいと思うクラブだったらやりません。
 どんな仕事でも同じだと思いますが、漫画家という自分の仕事をフルに生かしてクラブを押し上げられるのは幸せなことだと思います。漫画は情報や感情が伝えやすい。漫画の力を使って、思いを届けるのが一番いいのかなと思います。自分は作品を描くことで、やれることは全部やろうと思っています。

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