愛媛新聞ONLINE

2021
612日()

新聞購読
新規登録
メニュー

旧満州の超特急豪華列車「あじあ号」(西日本新聞)

2021年5月9日(日)(友好社)

「あじあ号」をけん引した蒸気機関車「パシナ」の751号機(右端)と757号機(右から2番目)=4月18日、中国遼寧省瀋陽市の瀋陽鉄路陳列館

「あじあ号」をけん引した蒸気機関車「パシナ」の751号機(右端)と757号機(右から2番目)=4月18日、中国遼寧省瀋陽市の瀋陽鉄路陳列館

「あじあ号」の展望車の様子=中国遼寧省瀋陽市の瀋陽鉄路陳列館の展示から

「あじあ号」の展望車の様子=中国遼寧省瀋陽市の瀋陽鉄路陳列館の展示から

「あじあ号」をけん引した蒸気機関車「パシナ」の751号機(右端)と757号機(右から2番目)=4月18日、中国遼寧省瀋陽市の瀋陽鉄路陳列館

「あじあ号」をけん引した蒸気機関車「パシナ」の751号機(右端)と757号機(右から2番目)=4月18日、中国遼寧省瀋陽市の瀋陽鉄路陳列館

「あじあ号」の展望車の様子=中国遼寧省瀋陽市の瀋陽鉄路陳列館の展示から

「あじあ号」の展望車の様子=中国遼寧省瀋陽市の瀋陽鉄路陳列館の展示から

 「新幹線の原型とされる『あじあ号』の蒸気機関車が中国・遼寧省大連の車庫に眠っているという記事を以前読んだ。今、どうなっているか知りたい」。西日本新聞の「あなたの特派員」に読者から調査依頼が寄せられた。あじあ号とは現在の中国東北部の旧満州国(1932~45年)で日本の国策会社、南満州鉄道(満鉄)が運行していた超特急豪華列車。JR九州の九州新幹線と「ななつ星in九州」を足して二で割ったような花形機関車の行方を追った。

 

 「歴史伝える遺物 大連にたたずむ」。2006年10月の本紙に、あじあ号の記事が掲載されていた。大連鉄道国際旅行社の車庫に、当時世界最速の時速130キロで旧満州を縦断したあじあ号のパシフィック型蒸気機関車(パシナ)が保存されている-とある。

 

 パシナは、満鉄が日本の川崎重工や大連の工場で計12両製造。石炭を自動でくべる機械も備え、1934(昭和9)年からあじあ号をけん引した。日本の傀儡(かいらい)国家「満州国」の首都だった新京(現在の吉林省長春)-大連間の約700キロを8時間半で結んだ。

 

 本紙の友好紙である大連日報の協力を得て旅行社に問い合わせたところ、パシナ757号機を日本人観光客に有償で公開していたが「もうここにはない」という。2012年末に瀋陽市の瀋陽鉄路陳列館に移送されたとのことだった。同年9月の沖縄県・尖閣諸島の国有化で日中関係が悪化し、日本人の客足が途絶えたことも一因とみられる。

 

 あじあ号は全車両に冷暖房を完備し、食堂車や展望車も連結した豪華列車。「東洋における陸の王者」と呼ばれた。新京-大連の特急料金込みの運賃は、小学校教員の初任給が46円30銭(1933年3月時点)の時代に1等車36円90銭(開業当時)と高額だった。

 

 当時の鉄道ファンや子どもたちにとって憧れの的だったが、戦争激化に伴って43年にあじあ号の運行は休止された。戦後、中国の鉄道当局に接収されたパシナは「勝利7型」と改称され、一部は80年代まで列車をけん引。日本の鉄道関係者による訪中団が、瀋陽近くの機関区でスクラップ寸前の1両を見つけたという。

 

 現存する2両がそろう瀋陽鉄路陳列館を訪れた。同館は2019年まで研究者や鉄道関係者以外には非公開だった。パシナは「日本軍国主義の中国侵略の証」とされつつも、観光資源となっている。入館料は80元(約1350円)だった。

 

 中国の鉄道史を彩る68両の機関車や客車、貨車がずらりと並ぶ館内を歩くと、鮮やかな水色と緑色の2両の流線形機関車が目に飛び込んできた。パシナ751号機と757号機だ。どちらも1934年製で全長約26メートル。車輪は直径2メートルもある。時代に翻弄(ほんろう)されてきたパシナにそっと触れ、思いを巡らせた。

 

 館内では、中国の清朝が1891年に鉄道を敷設して以降の中国東北部の鉄道史を、当時の写真や史料と共に紹介している。

 

  「日本の傀儡統治時代」というコーナーには、あじあ号が疾走する写真があり「満鉄の本質は侵略と略奪だった」と記されていた。ただ、力強さがにじむパシナは中国の人々にも人気だ。車体と記念写真に納まる家族連れを何組も見かけた。1個5元(約85円)の土産用トランプにもパシナ751号機が登場していた。

 

 帝政ロシアが敷設した東清鉄道、満鉄、国民党の支配、朝鮮戦争といった現代中国につながる歴史の縦糸。残された線路や駅舎、機関車など使えるものはフル活用し“負の歴史”も観光資源とする中国のしたたかさも垣間見える。鉄道ファンならずとも訪れる価値がある場所だ。(西日本新聞)

 

    「真相追求 みんなの特報班」について

    日常生活でふと疑問に感じたり、困ったりしたことはありませんか。理不尽や不正にやりきれない思いをされていないでしょうか。愛媛新聞「真相追求 みんなの特報班」(通称・みん特)は、そんな「あなた」から取材リクエストを受けて調査し、事実を一つ一つ積み重ねて真相を追います。
    無料通信アプリLINE(ライン)で「友だち登録」すると特報班と直接つながります。LINEを活用したアンケートなども致しますので、リクエストのない方も「友だち登録」してみてください。メールや手紙もお待ちしております。
    詳しくは、みん特特設ページへ

    みん特おすすめ記事

    愛媛の情報なら、愛媛新聞のアプリ。

    欲しい情報をいつでもあなたにお届け!プッシュ通知機能も充実。