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愛媛大防災情報研究センター 森脇亮センター長に聞く

「ハザードマップ」どう活用 わが家のリスク知り準備 

2021年3月13日(土)(愛媛新聞)

複数の災害リスクをまとめて閲覧できる国土交通省のサイト「重ねるハザードマップ」

複数の災害リスクをまとめて閲覧できる国土交通省のサイト「重ねるハザードマップ」

「災害時に備えて地域のリスクを知ることは大切」と語る森脇亮・愛媛大防災情報研究センター長=松山市文京町

「災害時に備えて地域のリスクを知ることは大切」と語る森脇亮・愛媛大防災情報研究センター長=松山市文京町

複数の災害リスクをまとめて閲覧できる国土交通省のサイト「重ねるハザードマップ」

複数の災害リスクをまとめて閲覧できる国土交通省のサイト「重ねるハザードマップ」

「災害時に備えて地域のリスクを知ることは大切」と語る森脇亮・愛媛大防災情報研究センター長=松山市文京町

「災害時に備えて地域のリスクを知ることは大切」と語る森脇亮・愛媛大防災情報研究センター長=松山市文京町

【地盤強度や浸水深把握 タイムライン作成に応用】

 

 自然災害による被害の想定範囲や避難場所などを示した「ハザードマップ」。活用法をもっと知りたい人は多いのでは。自治体などが作るハザードマップ活用の第一歩は、居住地域などの被害想定を知ること。そして実際に災害が起きたときにどのような避難行動を取るか考えることで、命を守るための準備ができる。愛媛大防災情報研究センターの森脇亮センター長にマップ活用のポイントを聞いた。

 

 地震の場合、震度分布図で自分の家が立つ地盤の強度などを知ることができる。地震発生後に想定される津波、土砂災害、液状化のリスクもそれぞれのマップで把握できる。これらの情報は避難場所の検討だけでなく、引っ越しや土地の購入時にも役立つ。森脇センター長は「ただし、『うちは地盤が強いから絶対大丈夫』ということはなく、建物の耐震化や家具の固定はどの場所でも必要」と強調する。

 

 豪雨は状況を見ながら事前に避難が可能なため、マップを使った準備がより効果的。洪水ハザードマップは想定する最大規模降雨に基づき、川が氾濫した場合の浸水深を色分けして表示している。もし、自宅の浸水の可能性が1階までなら、2階への「垂直避難」という選択肢がある。家屋の倒壊・流失をもたらすような堤防決壊に伴う氾濫流や河岸侵食が想定される区域は、避難所などを目指して「立ち退き避難」が必要になるかもしれない。最新の情報は自治体のウェブサイトでも確認しておきたい。

 

 複数のマップを合わせて見ることも必要だ。洪水ハザードマップは河川ごとに作られているため、同じ場所でも別の川のマップを見ると想定浸水深の色の付き方が違う場合もある。浸水継続時間マップの活用も有効で、浸水が3日以上継続するなら垂直避難で自宅にどどまっていると孤立してしまう。さらに降雨が続くと、土砂災害や崖崩れの可能性もある。国土交通省の「重ねるハザードマップ」はインターネット上で自宅などの住所を検索し、洪水、土砂災害、津波などの被害リスクを、一つの地図上で重ねて閲覧できる。

 

 ハザードマップで得た被害想定の知識は、実際の避難などの行動計画につなげたい。家族構成や地域環境に合わせて一人一人が避難行動計画を時系列で整理した「マイ・タイムライン」を作成しておくことを勧める。

 

 行動判断のきっかけは、災害発生の危険性を気象庁や自治体が知らせる5段階の警戒レベルを目安の一つにできる。土のうの準備、すみやかに避難など、警戒レベルに合わせて計画をこなせるのが理想的だ。避難にかかる時間は遠くを目指せば長くなるし、人数や年齢、介助の必要性によっても異なる。災害時が平日か休日か、日中か就寝時かなどによっても行動のパターンが変わってくるので一通りシミュレーションしておくとよい。

 

 ハザードマップは距離感などの空間的なイメージ、タイムラインは行動の順番など時間的なイメージをつかむのに有効だ。経験したことのない災害をリアルに感じるため、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)技術で災害時の浸水を疑似体験できる環境整備も進んでいる。森脇センター長は「人は経験したことのない状況を前にすると『まだ大丈夫』と言い聞かせてしまう。いざというときに思考停止しないよう、情報を活用して段階的に避難を想定してほしい」と呼び掛ける。

 

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