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催奇性の回避期待

サリドマイド 薬害原因物質を確認 愛媛大・澤崎教授ら

2021年2月14日(日)(愛媛新聞)

サリドマイドが催奇性を引き起こす原因タンパク質「PLZF」を発見した澤崎達也教授(左)と山中聡士特定研究員=8日午後、松山市文京町

サリドマイドが催奇性を引き起こす原因タンパク質「PLZF」を発見した澤崎達也教授(左)と山中聡士特定研究員=8日午後、松山市文京町

 愛媛大は13日までに、同大プロテオサイエンスセンターの澤崎達也教授(52)と山中聡士特定研究員(28)らの研究グループが、低分子薬剤サリドマイドを服用した妊婦の赤ちゃんが四肢形成の発育不全を引き起こす「催奇性」の原因として、「PLZF」というタンパク質が関係していることを明らかにしたと発表した。

 

 大学や澤崎教授によると、サリドマイドは多発性骨髄腫などの血液がんを中心に、世界で年間約1兆円規模で使用されている低分子薬剤。しかし1960年代ごろに妊婦が睡眠導入剤として服用したところ、手足の短い赤ちゃんが生まれる事例が多発し世界規模の薬害問題となり、長年その原因が解明されていなかった。

 

 これまでの研究で、胎児の四肢発生に重要なタンパク質「SALL4」に、サリドマイドなどの免疫調整薬がのりのような役割となって「セレブロン」と呼ばれる分解酵素がくっつくことで、タンパク質の分解が誘導され、催奇性を引き起こしている可能性はすでに示唆されていた。

 

 しかし澤崎教授らのグループはSALL4以外の原因タンパク質が存在するのではないかと考え、独自の方法で研究を実施。小麦の胚芽を利用し人工的にヒトの転写因子を作り出す「コムギ無細胞タンパク質合成系」の技術を駆使し、サリドマイドを介してセレブロンとくっつくタンパク質を探したところ、PLZFが該当した。

 

 培養細胞で解析したところ、PLZFがサリドマイドなどによってセレブロンとくっつき、分解されることも判明。またニワトリを使った実験で、PLZFが四肢発達に重要な役割を果たしていること、PLZFの分解がサリドマイド催奇性に直接関与していることなどを明らかにした。

 

 これにより、今後はSALL4やPLZFへの作用を軽減し、催奇性を回避したサリドマイドの開発が進められていくのではないかとみている。澤崎教授は「サリドマイドは病気によってはとてもよく効く薬。安全に若い人が服用できる日が来ることを期待したい」と話している。

 

 この研究成果は1月20日に欧州の専門誌THE EMBO JOURNALに掲載された。

 

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