年明け以降「自転車操業」 通常医療への影響、懸念
コロナ最前線、危機感あらわ 県立中央病院呼吸器内科 井上医師に聞く
2021年1月25日(月)(愛媛新聞)
新型コロナウイルスの感染拡大により、県内でも医療体制への負荷が高まっている。昨年3月以降、感染者治療の最前線で対応してきた県立中央病院呼吸器内科主任部長の井上考司医師は、感染者数急増に伴う病床逼迫(ひっぱく)や救急医療の機能低下を危惧。「このペースで患者数が増えていけば1、2週間で(コロナ以外の診療に)影響が出てもおかしくないレベルに来ている」と危機感をあらわにし、適切な感染防止対策の徹底を呼び掛ける。
同病院は専門の医師や看護師らを中心に複数の対応病床を構え、昨年4月からの第1波や夏の第2波までに40人程度の感染者に対応。クラスター(感染者集団)が相次いだ11月の第3波以降は受け入れが続き「これまでの3倍以上の患者数を1カ月程度で一気に診ている感じ。特に年明けからは『自転車操業』で、ベッドの9割は常に埋まっている」と語る。
【現場の負担】
県内の受け入れ病院は感染者の容体に応じて役割分担しており、県立中央病院は集中治療室(ICU)に入るまでの中等症以上に対応している。現在は高齢者や基礎疾患のある感染者も増え、介護や新型コロナ以外の疾患を治療しながらケアに当たる看護師らの負担は2、3倍に増加。ウイルスが存在するレッドゾーンでは防護服を着け、ゾーン外との物品受け渡しなどにも常に神経を使う。「仕事が終わると、みんなどっと疲弊している」と明かす。
県が公表する入院患者の容体の区分は大多数が軽症に含まれる。国による重症の定義が「人工呼吸器や人工心肺装置『ECMO(エクモ)』の使用、ICUで治療する患者」とされるためだが、現場では基礎疾患の悪化も含めICUに入る手前でさまざまな治療を要する人がいる。中等症以上を受け入れる同病院は「明日にも重症化するかもしれない状態」(井上医師)の患者に対応しているのが実態だ。
※新型コロナウイルス関連情報はこちら