松山大時代「競技人生大きく変えた財産」
昨年末引退の陸上・高見沢安珠さん(松山大卒)インタビュー
2021年1月21日(木)(愛媛新聞)
松山大出身で2016年リオデジャネイロ五輪陸上女子3000メートル障害に出場した高見沢安珠さん(24)=資生堂=が昨年末で現役を引退した。三重県出身で、愛媛の地で飛躍を遂げたオリンピアンは20日、愛媛新聞の取材に、松山大時代を「競技人生を大きく変えてくれた財産」と振り返り、後輩らへ「目標を持つことが大切。世界にも目を向けて」とエール。穏やかな表情で競技人生に幕を引いた決断の背景や愛媛での思い出などを語った。
―松山大から資生堂に進み3年目を終えたタイミングでの引退だった。
この3年間、東京五輪を目指してきたが、故障やけがでほとんどレースに出ることができなかった。どうやって(競技人生を)終えるかというのは考えていたが、自分の目標はあくまで五輪。体が万全でない中、そこに至ることができないと引退を決断した。
―松山大時代やリオ五輪での思い出は。
松山大の4年間は私の競技人生を大きく変えてくれたもので、自分にとっての財産。五輪出場を決めた第100回日本選手権のレースは一番の思い出。残り1周半で転倒し首位を譲ったが、そのあと逆転しゴールするまでのことは今でも鮮明に覚えている。
五輪では事前合宿から帰国するまでの約1カ月半、濃い時間を過ごした。レースのスタート前は、憧れていた選手に囲まれて非現実的な感覚だった。雰囲気にのまれて力を出し切れず、ほろ苦さが残っている。
―地方からでも世界に羽ばたけることを体現した。愛媛の子どもたちに伝えられることは。
私自身、(大都市など)特定の環境じゃないとできないという考えはしない。地方にもたくさん良いところがあり、そこに気づくことで、地方だからこそ育める強みを持てると思う。
陸上競技に限らず、目標を持つことが大切。自分が得意なこと、なりたいものを見つけて日々を過ごしてほしい。また、五輪に出たことで、日本だけでは感じられないことを経験できたので、機会があれば世界に行って視野を広げてほしい。