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「レベち」「あーね」 若者言葉、分かる? (中国新聞)

2021年1月17日(日)(友好社)

ある女子学生のLINEのやりとり

ある女子学生のLINEのやりとり

 若者の会話やネットの投稿で、不可思議な言葉に出合うことはありませんか。周囲の親世代からも「あれってどういう意味?」との声が聞こえてくる。調べてみると、無料通信アプリLINE(ライン)やツイッターなどを使いこなす「SNS世代」ならではの背景があるようだ。時代を映す若者言葉。皆さんは意味が分かりますか?

 

 まずは使っている当事者に聞いてみた。「ラインはテンポとノリ、空気を読んだ会話が大事です」。広島市内の女子大学生(19)は強調する。友人とのやりとりでよく使うのは、同意や共感を示す「それな(そうだね)」や「あーね(あーなるほどね)」。「このドラマ面白いよね」「それな」といった具合だ。

 

 別の女子学生(21)に聞いてみると、「とりま(とりあえず、まあ)」「レベち(レベルが違う)」なども頻度は高めという。何かに失敗したときや、うれし涙が出るときは「ぴえん」。泣き声をかわいく表現した言葉で、昨年、辞書を編集する専門家らが選ぶ「今年の新語」で大賞になった。

 

 日本語の常識を軽やかに超えるこうした言葉は、どのようにして生まれるのだろう。

 

 若者の言葉を研究する広島大大学院の難波博孝教授(62)は「短い時間で意思疎通できるよう、スマートフォンで入力する『打ち言葉』は省略されがちです」と説明する。ラインや文字数制限があるツイッターは造語が生まれやすい。

 

 省略の極みが「フロリダ」。米国の地名ではない。「お風呂に入るからSNSを離脱する」という意味だ。「今からフロリダ」と送ると、相手は「了解です」を略した「りょ」や「り」と返信する。暗号のようだが「即レス」するのには便利そう。

 

 SNS上の略語は普段のおしゃべりにも進出している。学生たちは「このお菓子(のおいしさ)レベち」などとやりとりする。書き言葉と話し言葉が一体化しているようだ。

 

 難波教授は、若者言葉のもう一つの特徴として、「人間関係の摩擦を避け、発言に過剰に気を使っている面がある」と指摘する。SNS上の文章は残るからか、断定を避ける傾向がある。

 

 代表的なのが「やばみ」「つらみ」のような、語尾に「み」を付ける表現。「赤みがある」と同様、その状態が完全ではなく部分的であることを表す。「わかりみしかない(すごくよくわかる)」「うれしみが深い(とてもうれしい)」などと使う。語感が新鮮で、何となく柔らかい雰囲気になる。

 

 「感情の所在をあいまいにし、他人に同調しようとする極めて日本的な表現」と難波教授。「〇〇ぽい」「〇〇的」といったニュアンスで、コミュニケーションを円滑にしたい思いがこもる。

 

 30代の記者が中高生だった1990年代はギャル文化の全盛期で「チョベリグ(超ベリーグッド)」や「MK5(マジで切れる5秒前)」がはやった。今や完全に死語だが、「略す」という技法は普遍的なようだ。

 

 当時、大人たちは「言葉の乱れ」「意味不明」と眉をひそめた。しかし今も昔も、若者は仲間内でしか理解できない「隠語」のような言い方をすることで、連帯感を高めているのかもしれない。

 

 取材していると、いくつかの言葉は「もう古い」と笑われてしまった。雑誌やテレビが流行をけん引していた頃と比べ、情報が頻繁に更新されるネット時代には「流行語の賞味期限」も短くなっているらしい。大人が把握した時には時代遅れなのだろう。来年はどんな新語が生まれるのか-。興味を持ってもらえたら「うれしみ」。(中国新聞)

 

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