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愛媛出版文化賞 受賞者に聞く

<5>奨励賞/第1部門 研究・評論 「松山のドイツ兵捕虜と収容所新聞『ラーガーフォイアー』」(愛媛新聞社・愛媛新聞サービスセンター) 鳴門市ドイツ館史料研究会 編著

2021年1月16日(土)(愛媛新聞)

奨励賞を受賞した鳴門市ドイツ館史料研究会のメンバー。左が井戸慶治会長(提供)

奨励賞を受賞した鳴門市ドイツ館史料研究会のメンバー。左が井戸慶治会長(提供)

【知的活動の足跡 紹介 計63号 全訳も公開予定】

 

 映画化もされ、現在も関係者との交流が続くなど愛媛では知られている日露戦争での「ロシア人捕虜」の存在。一方であまり知られていない第1次世界大戦ドイツ人捕虜たちが、松山にあった収容所内で刊行していた新聞「ラーガーフォイアー」を読み解き、当時の生活や文化活動などを伝えている。

 

 本書によると、日本などは1914年、ドイツの拠点だった中国・青島を攻略し、約5千人の捕虜を日本各地に収容。17年に徳島県の板東収容所に併合されるまで松山市の3カ所で415人(1人が病死)が過ごしたとされる。著者の鳴門市ドイツ館史料研究会(徳島県)は約30年にわたり、捕虜が発行した新聞の研究や、史料館での展示を企画してきた。

 

 研究会の会長で徳島大大学院総合科学研究部の井戸慶治教授(62)=今治市出身=は「収容所新聞ですべて現存しているのはラ紙を含め3紙しかない。思い出としても残したくなる内容だったのだろう」と推察。2013年に翻訳に着手し、会員の5人が執筆。当時の味わいが出るよう工夫したほか、多くの人に興味をもってもらえるよう解説を多くしたという。他2紙も書籍化するなどしている。

 

 ラーガーフォイアーは、「収容所の火」の意味。解放後の社会復帰のための知識の提供や収容所内での知的活動の発展などを目的に1916年に創刊、発禁処分後も秘密裏に回覧する方法で計63号を刊行した。語学や法律の講座、音楽や絵画活動に加え、世界旅行の見聞録や戦争の体験記も掲載。窮屈な収容所の現状や日本側の捕虜への待遇などにも触れている。

 

 井戸会長は「松山収容所には応召兵や志願兵が多く、戦前の職業が多様だったことがさまざまな活動につながった」と話す。抄訳が中心のため、今後全訳を公開する予定。

 

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