愛媛新聞ONLINE

2021
37日()

新聞購読
新規登録
メニュー

愛媛出版文化賞 受賞者に聞く

<4>部門賞/第4部門 その他文化全般 「四国秘境物語」安森滋著

2021年1月15日(金)(愛媛新聞)

「出版後も読者からいろいろな話が聞けておもしろい」。四国の秘境を独自に調査した安森滋さん

「出版後も読者からいろいろな話が聞けておもしろい」。四国の秘境を独自に調査した安森滋さん

【消えゆく暮らし克明 「生の声」14年かけ記す】

 

 四国の「秘境」を訪ねて消えゆく集落や人々の暮らしを取材し、貴重な資料を14年かけてまとめ上げた。安森滋さん(78)=西条市飯岡=は「若く体力があったからできた取材も多く、高齢となった今は、懐かしくも恋しい日々」と回顧。持ち前の好奇心と熱意、情報を寄せてくれた人や周囲の協力への感謝の気持ちを原動力に、長い旅路を走りきった。

 

 多くの人に会い、人生を聞き書きし、目前の景色や歴史を独特の筆致で細かく書き記した。人が立ち入らなくなった鉱山や分校、寺社、山、川、島などでの生活を語る「生の声」が、14部構成の1006ページの大著にあふれる。「写真だけでは伝わらないこともある。対話をして、語ってもらうことで方言ごと刻み込まれる」と安森さんは言う。

 

 出身は広島県呉市。愛媛県の高校で国語教師を38年間務める傍ら、山に登り、多くの文献にも目を通した。2019年末まで営んだ山小屋「赤石山荘」での出会いをつづった自著「四国赤石山系物語」(06年)の反響をきっかけに、4作目となる自費出版を決意。香川県の島など取材先はどんどん広がった。

 

 安森さんは「新型コロナウイルス禍で延期も考えたが、こんな時だからこそ残すことに意義があるとも考えた。受賞は最高の贈り物」と喜び、「入りきらなかった約300ページ分の資料も何らかの形で世に出したい」と語る。

 

 「この本の価値のひとつは、本当の昔を語ってくれる人がいたというところにある」と安森さん。書店を介さず直接注文を受け、読者との交流や新たな情報に触れる機会を心から楽しむ。1月上旬時点で、四国内では香川県からの注文が最も多く、52%を占めるという。「この数字が何を語るのか、興味深いですね」。まだまだ探究心は尽きない。

 

    真相追求 みんなの特報班

    おすすめ記事

    <プレスリリース>一覧

    愛媛の情報なら、愛媛新聞のアプリ。

    欲しい情報をいつでもあなたにお届け!プッシュ通知機能も充実。