J元年 内容に満足/「対応力」勝負の鍵
J2昇格 今年こそ FC今治 岡田会長に聞く
2021年1月1日(金)(愛媛新聞)
「2025年にJ1で優勝争いをする」。そんな壮大な夢を掲げ、15年にリスタートしたFC今治。人口約16万人の地方都市をホームとするアマチュアクラブのトップに就任した元日本代表監督、岡田武史会長の下、地域リーグ、日本フットボールリーグ(JFL)を勝ち上がり、夢の実現に向けて躍進を続けている。
東京五輪・パラリンピックの延期をはじめ、新型コロナウイルスに揺れた20年のスポーツ界。J3参入1年目のFC今治も、開幕延期や無観客試合と逆風にさらされた。しかし、チームは最終盤までJ2昇格争いに加わるなど存在感を発揮し、15勝10分け9敗の7位でシーズンを終えた。21年のJ3はJ2からの降格チームがなく、岡田会長は「21年はチャンス。どんなことがあっても昇格したい」と意気込む。
J2昇格の条件である新スタジアム計画も進む中、経営者として奔走する岡田会長が「アフターコロナ」を見据えて掲げたキーワードは「対応力」。その真意は―。
―J3参入1年目を無事に終えた。
手応えを感じたし、何よりも運営面で全試合を開催できた。いろんな不規則なことがあったけれど、何とか対応できたと思う。トップチームも内容的にJ3でやっていける、J2に昇格する可能性を感じたシーズンだった。
経営面でも黒字で着地できそう。情勢はまだまだ厳しいが、満足できた1年だった。
―7位の成績をどう評価するか。
十分に昇格できる可能性があったし、もう少し上の順位にいることもできた。こういう勝負事は引き分け試合を勝ちに持っていき、負け試合を引き分けに持っていくことが必要だが、リーグ中盤まではできなかった。リュイス監督が日本のサッカーに慣れていなかった部分もあるし、J3が初めての選手も何人かいたので致し方なかった。
―コロナ下のクラブ経営を振り返って。
当初、世の中の雰囲気では1、2カ月で収まると思っていた。僕は社員に8月ぐらいまでかかると話していたが、それでも甘かった。年をまたいでもどうなるか分からない。それぐらい予測不可能な中、社員やパートナー企業など全てが臨機応変に対応してくれた。
―書き初めの「対応力」に込めた意味は。
今年はどんなことがあっても対応できる準備をするが、準備していても想定外のことが起こる。その際にいちいち会議をしたり、上司に判断を聞いたりするのではなく、社員それぞれが主体的に判断していけるか。そこが勝負になる。
サッカーでも、相手がいろんな戦術を使ってくるときに対応できるか。そこが問われる1年になる。