愛媛新聞ONLINE

2021
228日()

新聞購読
新規登録
メニュー

コロナ禍 会食どうする?

「感染に不安」8割NO 松山

2021年1月1日(金)(愛媛新聞)

今冬の忘年会や忘年会実施の是非について「NO」(右枠)と答える女性(左)。ボードの黄シールが男性、赤シールが女性=2020年11月24日、松山市大街道2丁目

今冬の忘年会や忘年会実施の是非について「NO」(右枠)と答える女性(左)。ボードの黄シールが男性、赤シールが女性=2020年11月24日、松山市大街道2丁目

 愛媛県内で複数のクラスター(感染者集団)が発生し、新規感染者数が2桁に上る日が続いていた2020年11月下旬。愛媛新聞「みん特」準備班で、同窓会をめぐる西日本新聞の記事が話題になった。「愛媛でもいろんな会食で肯定派と否定派がいるのでは」「一人一人、リスクの捉え方も事情も違う」「これは悩ましい…」。感染拡大後、初の年末年始。例年なら忘・新年会シーズンだ。松山市中心部の商店街を行き交う人々に聞いてみることにした。「この冬、会食したいですか?」

 

 アンケート実施日の11月24日、愛媛新聞1面の見出しは「コロナ感染 県内1週間100人超」。春を上回る感染拡大期だ。記者5人で大街道商店街に立った。回答に応じてシールを貼るので「Yes/No」と書いたスケッチブックを準備。「心なしか人少なくない?」。記者の1人が言う。

 

 早速、感染防止に注意しながら道行く人に声掛けしていく。即座に「NO」と答える人が圧倒的に多い。年齢が高いほど重症化のリスクが高いといわれているからか、中高年はほぼNOだ。

 

 毎年クリスマスパーティーをしていたという松山市の70代の女性は「県内の感染者がゼロでも(会合は)不安。命が大事やけん」と断固とした口調。松山市の60代主婦も年末年始は自宅から動かないといい「大阪の親族とは別々に過ごします」とさみしげだった。

 

 せわしげに歩いていたスーツ姿の松山市の30代の男性会社員に足を止めてもらって尋ねると「会社の忘年会は好きではないし、(中止になって)むしろラッキーですよ」とにやり。松前町の60代の男性社長は「会社から感染者を出したくない。懇親会を許可する勇気はない」と複雑な表情を浮かべていた。

 

 約2時間で70人に話をきかせてもらった結果、否定派が57人と約8割を占めた。

 

 一方で感染対策が整っている店に少人数で集まりたいという声も少数ながらあった。特に10~20代は約3分の1が肯定派で、ほかの世代とのギャップが目立つ。

 

 松山市の10代の男子専門学生は「知り合いに感染者が出ていないので、対策をしっかりすれば大丈夫だと思う」と笑顔で語る。男子大学生3人とも「今年が成人式なんだけど大人数の同窓会は諦める。少人数で気の合う友達だけで楽しみたい」。3人は同窓会ができないのを残念がっていたが、12月には県内の全市町が成人式自体を中止、延期した。

 

 アンケートの結果をみれば、11月は松山市内でクラスター(感染者集団)が出るなどしていたこともあって会食自粛ムード。年代別でみると、一定数の肯定派がいる20代以下は西日本新聞の記事のように、開催を巡って意見の衝突やすれ違いがありそう。逆に30代以上の会食肯定派は極めて少数。息の詰まる状況にある様子で取材にも言葉少なだった。ただ感染状況や会合の重要性などによって状況は今後変わってくる可能性もありそうだ。

 

 

 

「自粛ムード 飲食業複雑」

 

 

 

「忘年会という言葉が使いづらい」。県内の飲食業界では例年のような「忘・新年会」を前面に出す集客を控える動きが出ている。利用客の間で自粛ムードが広がっているからだ。売上減に耐えながら感染防止策を進めたり、別の集客方法を模索したりしている。

 

 「今は『忘年会』という言葉にもお客さまはシビア。案内表示を『食事会』にしてほしいという要望もある」。そう話すのは東京第一ホテル松山の担当者。当初は戸惑ったが「忘年会はやめた方がいいという風潮があるので気にされているのだろう。今はこちらからも提案している」。ホテルではオンラインの懇親会会場を提供するなど、新しいニーズに対応してコロナ時代を乗り切る構えだ。

 

 居酒屋「ダイニング博多屋 別亭」(松山市一番町1丁目)の福森昭宏店長(35)は、今の社会情勢では「集客するのもはばかられる」と複雑な胸中を語る。「12月は昨年比で8~9割の売上減になりそう。本音ではたくさんの方に来ていただきたいが…」

 

 昨年11月下旬に市内でクラスター(感染者集団)発生が確認されて以降、予約時などに個室の有無や座席の間隔などを一層詳しく聞かれるようになったという。店選びに感染防止策の下調べが必要になった幹事の苦労も垣間見える。

 

 もつ鍋がメインの同店。基本的な感染防止策に加えて、10月からは大鍋ではなく一人前ずつ小鍋で出している。来店客から「安心して食事できる」と好評という。福森店長は「できることをやれる範囲でやるしかない」と前を向く。

 

 

 

「誘われたら自分の意見整理を キャップ(松山)の森社長」

 

 

 

 新型コロナウイルス感染症が広がってから、誰でも会食をめぐって他人との意識の違いを感じた経験があるのではないだろうか。誘って断られたり、誘われて困惑したり。西日本新聞の記事のように幹事になって板挟みになったケースもあるかもしれない。無用なギクシャクやトラブルを生まないようにするには、どうすればいいのか。

 

 「互いの考えを大切にしつつ、自分の意見を素直に伝えることが基本です」。社員教育のコンサルタントなどを行うキャップ(松山市)の森美佐子社長はアドバイスする。人によって感染のリスクは違う。思いやりの気持ちが大事で、主張しないのも禁物という。

 

 森社長が提案するのが「DESC法」と呼ばれるコミュニケーション。相手に伝えたいことを①客観的な状況②自分の気持ち③提案④代案―に整理する手法だ。会食に誘う場合に当てはめて森社長がつくった会話例は次のようなもの。

 

 ①中止も考えたけれど、みんなと相談して感染に気を付けながら広い会場で短時間で開催することになった

 

 ②来てほしいけれど、それぞれ抱える状況は違うし自由に決めていいと思う

 

 ③店の情報と感染対策の内容を送るから、よかったらそれを見て考えてみて

 

 ④(参加すると答えた人に)無理しないで。駄目だったら次に会える

 

  (参加を断った人に)分かった。集合写真を送るからよければ見てね。

 

 会食を断る場合も「遠回しに話すとかえって誤解を招く」と森社長。DESC法を活用し、高齢の家族がいる▽会社から自粛を求められている▽感染が広がっている―などと客観的状況を伝えることから始めるとよいという。

 

 

 

 

 

    「真相追求 みんなの特報班」について

    日常生活でふと疑問に感じたり、困ったりしたことはありませんか。理不尽や不正にやりきれない思いをされていないでしょうか。愛媛新聞「真相追求 みんなの特報班」(通称・みん特)は、そんな「あなた」から取材リクエストを受けて調査し、事実を一つ一つ積み重ねて真相を追います。
    無料通信アプリLINE(ライン)で「友だち登録」すると特報班と直接つながります。LINEを活用したアンケートなども致しますので、リクエストのない方も「友だち登録」してみてください。メールや手紙もお待ちしております。
    詳しくは、みん特特設ページへ

    みん特おすすめ記事

    愛媛の情報なら、愛媛新聞のアプリ。

    欲しい情報をいつでもあなたにお届け!プッシュ通知機能も充実。