全国高校バスケ 県勢敗退
男子・新田 らしさと壁と 美濃加茂に69―80
2020年12月26日(土)(愛媛新聞)


バスケットボールの全国高校選手権第3日は25日、東京体育館で行われ、愛媛勢は男子の新田が美濃加茂(岐阜)に69―80と及ばず2回戦敗退した。
【評】新田が第3クオーター中盤から懸命な追い上げを見せ、最大17点差をひっくり返したが、試合終盤の攻防で競り負けた。
序盤、相手の留学生を軸にした攻撃で後手に回った。後半は砂川や水本らのシュートで流れをつかみ、第4クオーター残り約6分半で逆転。しかし終盤にターンオーバーが続き、再び引き離された。
【パス×走力 成長の跡】
試合後、主将の正岡は悔しさを押し殺しながら「自分たちが求めていたプレーはできた」と語った。県予選の段階で「全国の舞台で新田の魅力を知ってもらえるゲームをする」と宣言していた新田メンバー。敗れたものの、パスワークと高い走力で多彩な攻撃を仕掛ける独特のスタイルを見せることはできた。
高さと技術を兼ね備えるチームに勝つ難しさも感じさせた。高さの不利からリバウンドを奪えず、相手の狙いが分かっていながら止めきれない。たびたび留学生と競り合った井上は「あと一歩のところで取り切れないことが多かった」と悔しがった。
その中で後半に新田らしさを爆発させた。ゾーンディフェンスを敷く敵陣のわずかなスペースに走り込み、ピンポイントでパスを合わせる。全身でリバウンドやルーズボールに飛びつき、内外角を行き交うパスで相手を切り崩した。体格に勝る相手に対して大差をひっくり返したことで、チームが目指したスタイルの正しさを証明した。
2年前、1年生で出場した正岡は、思うようなプレーができなかった悔しさから、いつまでも会場の隅で泣いていた。今年は泣き崩れる後輩をねぎらいながら引き上げる姿があった。ほかの3年生も、うつむき立ち止まる選手はいない。
「みんなバスケが好きで、同じ目標を持って取り組んできた。最後にまとまって戦えたことが良かった」と正岡は言う。チームとしても個人としても、全員が成長を示せた大会だった。