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山瀬理恵子の行ってこ~わい 愛媛食材で愛あるアス飯

⑰レモン 岩城島の青いレモン ほくほくサツマイモ蒸し(上島町)

2020年12月23日(水)(愛媛新聞)

⑰レモン 岩城島の青いレモン ほくほくサツマイモ蒸し(上島町)

 

【「青いレモンの島」岩城島】

 

 瀬戸内しまなみ海道を渡り、生口島(広島県尾道市)の洲江港からフェリーで5分。岩城島(上島町)の小漕港に降り立った。港から車で約5分、海岸沿いのすぐ脇にレモンの温室が見えてきた。収穫最盛期、青いレモンが鈴なりになっている。

 

 

 

 岩城島がレモン産地として有名になったのは、ある立役者の存在が大きい。元県立果樹試験場岩城分場長の脇義富さん(73)が、瀬戸内の気候がイタリアの地中海と似ていることから「島でレモンが作れるのでは」と考え、品種選びや栽培方法を研究。島内でレモン栽培を進め、岩城島を「青いレモンの島」のキャッチコピーで売り出した。

 

 いわぎ物産センターのセンター長大本孝則さんによると、緑色でも熟しており、新鮮さやもぎたての証。一般的にレモンは黄色いイメージが強いが、気温が下がると糖度を上げようとして色付き、寒くなると黄色くなりやすいという。

 

 

 栽培歴約35年の福田智子さん(65)方のハウスに到着した。レモンは四季咲き性で年4回花が咲き、実をつける。収穫期間も10月下旬からゴールデンウイークまでと長い。岩城島産のレモンは果実の直径が58ミリ以上という独自規格があり、円形の器具でサイズを測りながら一つずつ手作業で収穫する。「優しく、生卵を扱う感覚で」と福田さん。はさみが当たった場所は茶色く傷になってしまうため、細心の注意が必要だ。山瀬さんは「レモンは繊細ですね」とうなずく。

 

 

 

【高難度!利きレモン】

 

 黄色いレモンと青いレモンを食べ比べ、青いレモンを当てることに。難易度が高そうだが大丈夫か。

 

 目隠しして食べ終わると「自信があります!」。宣言通り、大正解。「青いレモンは酸がしっかり入った後に甘みがくる。誰が食べても分かる」と豪語する。気を良くした山瀬さんは「大本さんにもやってもらいましょう」と無茶ぶり。センター長として外せない大本さんは戸惑いながらも味比べ。出した答えは…。まさかの不正解。「食べる順番かなと思います。最初に甘さを感じてしまった」と敗戦の弁。黄色を先に口にしたため、後味が残りすぎてしまったか。スタッフも試食。最後に甘みが残り、そのまま食べてもおいしい。

 

 このレモンを堪能できる場所があるという。その名も「でべそおばちゃんの店」。「『でべそ』は方言で『出しゃばり』の意味です」と大本さんが紹介してくれた。

 

 

 

 

【キャラ濃すぎ!でべそおばちゃんの店】

 

 「でべそおばちゃんの店」はレモン懐石料理を売りにしている農家レストラン。完全予約制で店主の西村孝子さん(72)、森本小夜子さん(73)、西本優子さん(71)の3人が切り盛りしている。

 

 店名の話題を振ると、西村さんは「みんなで(へそを)見せる?」とおどけ、西本さんは「人より少し積極性があるという意味で、決して出しゃばりじゃございません」とけん制。隙あらば冗談を言い、おしゃべりが止まらない。なかなか手ごわそうな3人だ。

 

 

【実も皮も葉も使う 豪華レモン懐石】

 

 「今まで紅茶の横で静かにしていたレモンを主役に」と献立を考案した。レモン懐石料理は豪華の一言。レモンずしはレモンをくり抜いた器に盛り、見た目も楽しめる。ひじきのレモン酢あえは学校給食の献立にも採用されている。看板メニューの「とんだレモン」は豚の飼料の一部にレモンの搾りかすを使ったレモンポークを使用。他にもレモン酢を使ったりレモンの葉の葉脈を潰して香りを引き出したりと細かな芸が光る品ばかり。

 

 山瀬さんは、とんだレモンを食べ「上品な味」と感嘆の声を上げる。紅茶にはレモンのつぼみを浮かべ、花が開くのを楽しむ。「一度で咲かなかったら二度、三度足を運んで」(西本さん)と売り込みも忘れない。花があまり開かなかった山瀬さんの紅茶を見て「また来てもらわないと」と来訪を促した。料理だけでなく、おばちゃんたちとの会話も店の売りになっている。

 

 

 

 

 

【切って煮込むだけ レモンの簡単蒸し料理】

 

 懐石を堪能したところで、山瀬さんからアス飯アレンジのレモン料理をお返し。おばちゃんたちのリクエストは「簡単で見栄えが良く身近な野菜を使うメニュー」。山瀬さんは蒸し料理を提案した。

 

 レモンは「アスリートの王道食」という。ビタミンCとクエン酸は疲労回復に重要な栄養素。生活習慣病の予防に効果的なレモン特有の抗酸化物質「エリオシトリン」が含まれていることが近年分かった。脂肪肝抑制効果や高血圧予防、筋肉の老化予防などが期待されている。サツマイモは皮にアントシアニン色素やミネラルが豊富なため皮ごと摂取するとよい。繊維質が多く、ゆっくりエネルギーになるので持久力トレーニング時におすすめ。トマトのリコピンは熱に強く、ニンニクや油と加熱調理すると吸収率が上がる。セロリは「食べる精神安定剤」と言われ、独特の香りがストレスを緩和させる。

 

 切って蒸すだけと簡単ながら彩りがよく栄養満点。大本さんや福田さんも加わり全員で試食。おばちゃんたちからも好評で、地元児童の料理体験メニューに採用されることが決まった。レモン懐石の新定番になる日も近いかもしれない。島の人たちと触れ合い、おなかを満たし、心身共にエネルギーを充電。フェリーで絶景を眺めながら帰路に就いた。

 

 

 

 次は砥部町に行ってこ~わい!

 

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