J2第38節・2日
愛媛FC猛追ドロー 大宮戦 後半一気に3得点
2020年12月3日(木)(愛媛新聞)
明治安田J2リーグは2日、第38節の11試合を行った。愛媛FCはさいたま市のNACK5スタジアム大宮で大宮と対戦し、3―3で引き分けた。通算成績は8勝10分け19敗(勝ち点34)で順位は21位のまま。
愛媛FCは0―3の後半、忽那らの3得点でドローに持ち込んだ。
首位徳島が北九州を4―1で下し、勝ち点80とした。次節の水戸戦に勝つと2位以内が確定し、2014年以来のJ1復帰が決まる。引き分けか負けても、3位長崎の結果次第で決定する。
長崎は京都に1―2で敗れ、勝ち点70のまま。2位の福岡は岡山と1―1で引き分け、同74とした。
愛媛FCは次節、6日午後1時から、県総合運動公園ニンジニアスタジアムで京都と対戦する。
【評】愛媛FCは後半の連続得点で追い付き、敵地で勝ち点1を手にした。
開始6分に先制され、前半だけで3点のビハインドを背負った。後半、丹羽、忽那、川村を投入し徐々に流れを引き戻し、29分に忽那が右クロスに合わせてゴール。これで勢いづくと、1分後に有田、その3分後に川村が追加点を挙げた。
【布陣変更 采配ぴたり】
[オーレEFC] 勝ちに等しい引き分けだ。「成長を実感できるとても大きな勝ち点1」。3失点した前半を反省しながらも、川井監督の表情には充実感がにじむ。怒濤(どとう)の追い上げを見せた同点劇は、指揮官の積極的な采配と若手の躍動ぶりが光る印象的な一戦となった。
前半は互いにシステムが3―4―3のミラーゲームとなったことで個の能力の差が浮き彫りとなり、大宮の質の高さに圧倒された。
「大きな声で怒りました」というハーフタイム、指揮官は動く。相手とのずれを生み出そうと4―4―2の布陣に変更。直近の試合で効果的な働きをした丹羽と忽那を投入し、前線のプレスの強度も高めた。さらにボランチを本職とする川村を「練習でも試したことはない」右サイドバックに起用。大胆な采配が試合の流れを変えていった。
2トップにしたことで前線に起点が増え、左右からの重厚な崩しで一挙3点を奪った。1得点1アシストの忽那は「最近はスピードを生かすなどやるべきことを明確にしている。攻撃が前に速くなり、自分の長所が出せてきた」と手応えを示す。
2戦連発の川村は「『後ろは気にするな』とDF陣が声を掛けてくれ、自由にプレーできた」と手応えを示しつつも「でも、もっとやらないといけない」と満足はしていない。
本来はJ3降格圏の21位から浮上できていないのは事実だが、3点差を追い付くタフさや、自ら状況を打開しようとする若手の活躍など収穫の多い一戦であったのも間違いない。来季を見据え、どれだけ積み上げられるか。大いに期待が持てる、残り5戦になりそうだ。