生涯スポーツ特集in愛媛
節目の年に3度 全日本シニアV ボウリング 木下洋子さん (83)
2020年11月26日(木)(愛媛新聞ONLINE)
全国から50歳以上のシニア選手がエントリーする「全日本シニアボウリング選手権大会」。木下洋子さん(83)=松山市=は、マスターズシニアの部(第46回までは70歳以上、47回から75歳以上が出場)で、70歳(第40回大会)、75歳(第45回大会)、80歳(第50回大会)という自身の節目の年に優勝を果たすほどのプレーヤーだ。
木下さんは「スポーツはボウリングしかできません」と謙遜する。高校のころまで身体が弱く、それからもスポーツ経験がなかった。同年齢の夫、木下義近さんは若いころ、ボウリングの全日本選手権にも出場するほどの腕前だった。36歳の頃、世の中はボウリングブームだった。夫のボウリングを楽しむ姿を見て、自分もプレーしたいと思った。
夫の勧めもあって始めた夫婦二人三脚の競技人生。「長い間、ボウリングをしていると調子の良い時があります。優勝した時も調子が良かった。それと、主人からのアドバイスも大きかった」と振り返る。
義近さんが75歳の頃、体調が悪くなり運動ができなくなった。「主人に喜んでもらうため」と、木下さんはさらにボウリングの腕に磨きをかけてきた。
義近さんが昨年、他界。悲しみに暮れる木下さんの周りには、励ましてくれるボウリング仲間がいてくれた。週に2回は練習も兼ねてさまざまなリーグに参加し、仲間たちと顔を合わせる。「ボウリングをすることは健康にも良いし、何よりみんなと会って話すことが楽しい」。今は、笑顔でプレーできるように。
9月21日、キスケKIT(松山市宮田町)で「愛顔のスポーツフェスティバルBOWLING」が開催された。年代も性別も異なる選手たちが、同じ会場でプレーする。この日は、新型コロナ感染防止策として密にならないよう、Aシフト、Bシフトにグループが分かれ、それぞれ違う時間帯から競技を開始した。
予選は前後半3ゲームずつの計6ゲームを投球し、各シフトの合計得点上位の12人が決勝へ。
競技を終えた木下さんは「今日は調子が悪かったです。ボールに勢いがありませんでした」と自己分析。ただ、多くの人が参加した大会に出場できたことで「大会を楽しむことができました。昔なじみなど、いろいろな人に声をかけてもらえて嬉しかった」。
ボウリングの大会は、年代や性別によって加算点があり、「幅広い年齢の人が楽しめる競技。ジュニアの子どもとも一緒のレーンで投げることも。他の人にならって『洋子さん』と呼んでくれるんですよ」と嬉しそうに語る。
「ボウリングを通じて、人とのつながりを持てることが良いことです」。ボウリングで紡いだ絆は大きな財産となっている。