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生涯スポーツ特集in愛媛

生涯スポーツ世界大会「次は金」 ウエイトリフティング 田坂美仁さん (53)

2020年10月25日(日)(愛媛新聞ONLINE)

 

 格の違いを見せつけた大会だった。田坂美仁さん(53)=新居浜市=は国内外のマスターズ大会で優勝や上位成績を連発するレジェンド。9月27日に新居浜市で開かれたウエイトリフティングの県秋季大会では、田坂さんの出番になると先に試技を終えた若手選手らが会場に集まり、動きを食い入るように見つめる。競技台に立つと、観客や他の競技者から「しっかり!」と声援や掛け声が飛ぶ。スナッチ105kg、ジャーク120kgの計225kgをマークし、最年長ながら他の選手を圧倒した。試合後、「欲を言えばスナッチで(マスターズ50~54歳クラス89kg級日本新記録の)111kgを取れていたら完璧だった。ただ昨年の全日本マスターズの記録を更新したので90点かな」と表情は明るい。

 重量挙げが盛んな街だけにジュニア選手も多く、練習の傍ら小中学生の指導にも力を入れている。自身が競技を始めたのは新居浜工業高時代。新居浜市出身で1984年のロサンゼルス五輪銅メダリストの真鍋和人さん(62)の存在もあり「やったことがないのでやってみようと、特に抵抗なく」部活動に選んだ。

 

 

 高校卒業後に競技から離れていたが、28歳で転機が訪れる。友人に誘われ久しぶりに訪れた重量挙げの練習場で真鍋さんに遭遇。趣味の筋力トレーニングで鍛えた体つきを見た真鍋さんに「ええ体になっとるやないか。本腰入れてやってみんかい」と発破を掛けられた。年齢を考え迷ったが、家族の後押しもあり競技に復帰した。

 その後試練がきた。36歳で腎臓の病気になり手術を受け、体重は1年間で17kg減り「筋肉が全部落ちた」。自信がなくなりしばらく休んでいたが、医師との会話中、「またやれば?」の一言に背中を押され、再復帰した。

 「確実に数字に表れる」のが重量挙げの面白さ。2度のブランクを経験したにもかかわらず第一線を維持し続けられるのは、練習のたまものだ。「練習メニューを作ってそれをこなせると達成感がある。一人で追い込むのは難しいが、仲間に恵まれた。若いときは、年を取ってからも重量挙げをやっているとは思わなかった。この年になって真剣に向き合えるものがあるのは幸せ」と後輩や家族に感謝する。

 今、一番のモチベーションは来年の生涯スポーツ世界大会。これまで2度出場し、銅、銀メダルを獲得している。次回の開催地は日本で、重量挙げの会場は徳島県。年齢区分で最年長と不利だが地の利はある。「今まで金メダルだけ取ってない。これは徳島で取れということかな」と自分に期待をかける。舞台は整った。

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