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10月は啓発月間

乳がん若年患者 支える 四国がんセンター乳腺科 高橋三奈医長に聞く

2020年10月7日(水)(愛媛新聞)

 10月は乳がん月間。近年、徐々に患者数が増加しており、30代では女性がん患者のうち、乳がんが約4分の1を占める。仕事、恋愛、子育てなどに忙しい若年層ががんになったとき、どんな選択肢があるのか。現在のサポート体制は―。四国がんセンター乳腺科の高橋三奈医長(46)ら識者に聞いた。

 

 

 

「若い人も月1回程度のセルフチェックを継続してほしい」と語る高橋三奈医長

「若い人も月1回程度のセルフチェックを継続してほしい」と語る高橋三奈医長

「若い人も月1回程度のセルフチェックを継続してほしい」と語る高橋三奈医長

「若い人も月1回程度のセルフチェックを継続してほしい」と語る高橋三奈医長

【治療や妊娠に選択肢 早期発見 セルフチェックを】

 

 乳がんの患者数は増加しており、2017年には全国で約9万2千人が罹患(りかん)した。女性の9人に1人が生涯に罹患するという。はっきりした原因は分からないが、食の欧米化などの影響が考えられるという。

 

 高橋医長は「他のがんと比較して、若年での罹患死亡が目立つ」と指摘する。最も多い年齢層は40~60代だが、30代が患うがんの中では乳がんが最多の22%を占める。

 

 高橋医長によると、乳がん発見の契機は約半数が自己発見。しこりや血が混じったような茶色い分泌液が出ることで気付く。少数だが痛みを伴う炎症が起きる場合もある。

 

 もし「乳がん」と診断された場合、どんな治療をしていくのか。高橋医長は、年齢にかかわらず「薬物」「手術」「放射線」の3療法を進行具合やがんのタイプをみながら組み合わせると説明する。

 

 手術となった場合、自尊心などの面から乳房を温存できるかどうか気になる人もいるだろう。がんの広範囲への進展がなく、放射線治療が行える状態であれば、温存術も選択できる。

 

 温存すると精神的な苦痛は少ないものの、局所再発率が上昇したり放射線治療が必要になったりするリスクがあり、それらを勘案した上での決断となる。乳房を切除する場合は、再建術が13年から保険適用されるようになっており、希望があれば形成外科と連携しながら対応できるという。

 

 若年者にとっては、治療をしながら子どもを授かる選択肢があるかどうかも、大事な問題となってくる。

 

 女性ホルモンの影響で増殖するタイプの乳がん治療では、ホルモンの働きを抑える薬を術後5~10年の長期間内服する「ホルモン療法」をする。抗がん剤とともに卵巣の機能低下を招くこともあり、妊娠のタイミングを逃すことがある。

 

 そのため四国がんセンターは子どもを持つことを希望する患者に対し、受精卵や卵子を凍結するなどの選択肢を示し、生殖医療専門施設と連携して相談を受けている。妊娠のためにホルモン療法を安全に一時中断できるかどうかも国際的に検証しているという。

 

 乳がんと遺伝の関係について高橋医長は「5~10%は遺伝性といわれる」と説明する。将来がんになる可能性が高いとされる「遺伝性乳がん卵巣がん症候群」患者に対しては、20年4月から未発症部位の切除手術や遺伝子検査が保険適用となっており、予防医学的にも、より対策を取りやすくなっているという。

 

 現在、国が補助する「対策型」と呼ばれる検診では40代以上に2年に1回、マンモグラフィー検診を勧めているが、若年層は対象外。そのため30代以下の人は、月経後のセルフチェックを継続していくことが早期発見につながるという。

 

 高橋医長は「セルフチェックで『いつもと違うな』と感じた時や、遺伝で気になることがあれば、年齢関係なく医療機関に相談を」と呼び掛けている。

 

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