愛媛大・佐藤久子教授
キラル分子を短時間で解析 英雑誌に論文が掲載
2020年8月24日(月)(愛媛新聞)

キラル分子を短時間で調べられる方法を開発した佐藤久子教授=松山市文京町の愛媛大 同素材の画像

キラル分子を短時間で調べられる方法を開発した佐藤久子教授=松山市文京町の愛媛大 同素材の画像
愛媛大大学院理工学研究科の佐藤久子教授(63)がこのほど、アミノ酸や乳酸などを構成する「キラル分子」を短時間で調べられる手法を発見し、英国王立化学会発行の雑誌「PCCP」に論文が掲載された。病気の原因究明に生かすことで、創薬や診断などへの応用も期待される。
キラル分子とは、実像と鏡像のように形は同じだが重なり合わない2種類の構造を持つ分子。佐藤教授によると、生物の代謝や生理機構にも関わっており、アルツハイマー病もアミノ酸の異なるキラル分子が混じることで引き起こされるといわれている。
キラル分子を調べるには、溶液中の分子に赤外線を当てて分子の振動のシグナルを検出するが、従来の方法ではシグナルが小さいという問題があった。
佐藤教授は溶液をゲル化する過程でシグナルが増大する現象を発見。キラル分子の解析に必要な測定時間を大幅に短縮でき、溶液だけでなく固体やゲルなどさまざまな状態の中で分子を調べられる道を開いた。