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新型コロナ 

死者情報公表 都道府県で差 愛媛は詳細示さず プライバシー・遺族に配慮  

2020年8月9日(日)(愛媛新聞)

 

新型コロナウイルスに感染した患者の県内初の死亡を公表する中村時広知事=4月3日、県庁

新型コロナウイルスに感染した患者の県内初の死亡を公表する中村時広知事=4月3日、県庁

 

新型コロナウイルスに感染した患者の県内初の死亡を公表する中村時広知事=4月3日、県庁

新型コロナウイルスに感染した患者の県内初の死亡を公表する中村時広知事=4月3日、県庁

 県は、新型コロナウイルスに感染して亡くなった人の性別や年代、居住地、死亡の経緯を知事会見などで公表していない。「プライバシーの保護、遺族の意向、心情などへの配慮」が理由で、おおよその年代の公表にとどめている。だが愛媛新聞の取材では、死者が出ており、公表方針が固まっている29都道府県のうち27都道府県が、遺族の同意を条件にするなどして少なくとも性別と年代は公表する方針だ。新潟大・鈴木正朝教授(情報法)は「感染者や死者などの情報を出さなければ、住民の行動が変わらず感染者が増える。デマも生まれやすい。情報がなければ歴史に埋もれて検証が不可能になる」と指摘している。

 感染症法は、知事が感染症の発生状況や動向、原因などの情報を分析し、予防のための情報を積極的に公表し、個人情報の保護に留意しなければならないとしている。愛媛県は県内の感染者に関して3月2日発表の1例目以降、年代や性別などを発表している。

 ただ、死者の公表に関する規定はなく、厚生労働省は愛媛新聞の取材に対し「死者の情報は感染拡大防止の効果が低いため積極的に公表すべきではない」とする。

 中村時広知事は4月3日の会見で県内初の死者を松山市在住と説明し、年代は公表しなかった。2、4、5例目は「高齢」、3例目は「中高年」とし、いずれも性別などは伏せた。

 県は「感染拡大防止に必要な情報を出す」としつつ、入院後は感染が拡大しない状況として「死亡した事実は出すが、年代や性別などはプライバシーの保護の方が勝る部分が大きい」と主張。遺族に、性別や年代など詳細な情報を発表してよいかどうかの確認はしておらず、県が決めた「高齢の方が亡くなった」といった表現について意見を聞いているという。一方、大半の都道府県では、どこまで詳細な情報を公表してよいかを確認している。

 年代や性別、居住地、職業の情報を公表しない方針なのは現時点で愛媛と滋賀のみ。滋賀は当初、感染事例と結び付けて発表し、性別や年代なども明らかにしていたが、5月上旬に「感染拡大と関係がない」として個別の情報を出さない方針に変更した。性別や年代は「出す可能性は低いが、今後検討する」とした。

 逆に沖縄は当初、年代のみの発表だったが「公表による公益もある。あまりにも情報がなければ亡くなった事実を想像しづらく、経緯や事例を踏まえて注意喚起も可能」と性別や居住地、死亡に至った経緯を発表する方針に変更した。

 他の都道府県の動向について、愛媛県健康増進課は「(国の方針がある)新規感染者の公表も一律ではない。愛媛県の考え方に基づいて出す」とし「愛媛方式」を基本姿勢とする。

 過去の感染症では、新型コロナの事例より詳しく発表していた。中村知事が松山市長だった加戸守行前県政下の2009年4月、県などが対策本部を設置した新型インフルエンザでは、県内で09年7月~10年4月に感染が確認された死者は2人、入院報告は82人いた。

 1人目の死者について松山市保健所は「同市の80代女性」、2人目は県が「今治市の70代女性」と発表。死因や経過なども公表していた。同課は「プライバシーの保護と感染拡大防止のバランスを、その都度考えて発表している」とした。

 

【大半は性別や年代 国の基準なし】

厚生労働省は2月下旬、エボラ出血熱やペストなどの1類感染症に関し、感染者情報の公表基本方針を都道府県などに示した。新型コロナウイルスも同方針を参考にするよう通知しており、性別や年代、発症日時などを公表すべき情報と位置付けた。一方で死者に関しては明確な公表基準は示していない。

 厚労省は死者に関する詳細の公表について「必要性が低いため、基準などは示していない」と説明。死者は感染を拡大するリスクがなく、センシティブな情報のためといい「社会的な関心の高さを踏まえても必要最小限でいい」。亡くなった人の情報は国民の行動を変えないという認識に立ち、今後も公表基準を出す予定はないとした。

 一方、10府県は亡くなるまでの経過を明らかにするため、過去に発表した感染者事例と結び付ける形で公表する方針。残る自治体は「個人の特定につながりかねない」などとし、過去の事例と関連させず、改めて死亡事例を公表している。

 基本的に公表する事項のうち、27の都道府県が出す方針なのが年代と性別。埼玉や岐阜、兵庫などはこれらの情報では「個人が特定されない」と説明。高知は加えて死因や基礎疾患の有無も「同じ年代や基礎疾患がある人への啓発になる」と遺族の意向にかかわらず公表している。7月に入って死者が初めて発生した山形は、なるべく詳細な情報は出さない方針だが、年代と性別に関しては「遺族の確認が取れたら出すことになるだろう」としている。

 ただ、遺族に意向を確認し、詳細を全く出さなかったり、一部非公表としたりしたケースは多くの自治体であった。

 神奈川は死者が増加し匿名性が高まったとして、6月上旬から遺族の意向にかかわらず性別、年代、居住地、推定発生事由などを公表している。既往症の有無や経過は遺族の意向を確認している。逆に当初、感染事例と関連付けて死者を発表していた兵庫は、4月中旬に独自に公表している神戸市が詳細を非公表にしてから結び付けない方式に変更した。

 

【感染回避の判断材料に 新潟大・鈴木教授(情報法)に聞く】

新型コロナウイルスに感染し死亡した人の性別や職業、死亡の経緯などを発表しない愛媛県の対応について、新潟大の鈴木正朝教授(情報法)は「死者の情報は国民の行動や心構えの変化につながる」と疑問を呈し、積極的な公表を求める。「判断材料が少ないとデマが生まれやすい」と情報制限の弊害も挙げる。

 鈴木教授は「どのような行動を国民に期待して情報を出すかを考えないといけない」と前置きし、症状や経過など死亡の経緯を説明することで感染回避行動の大切さなどを認識できるようになるとの見解を示す。誹謗(ひぼう)中傷は刑事事件として立件するなど毅然(きぜん)と対応すべきだとし「施設名の公表による被害は補償で解決すればいい」と述べた。

 「地域によって得られる情報が違うのはおかしい」とも指摘。自治体ごとに専門的な議論をするのは難しく、公衆衛生やプライバシーの権利、報道の自由など論点が多岐にわたるため、国が有識者を集めて議論し、統一した基準を作って法整備するよう提言した。

 亡くなった人の詳細な情報がなければ、歴史に埋もれて検証が不可能になると警鐘を鳴らし「実名とまでは言わないが、できるだけ情報は出すべきだ。行政が隠蔽(いんぺい)する可能性がないとは言い切れず、報道機関による権力監視は重要」と話す。

 一方で報道機関に対しても「裏取りを行い、自らの責任で何を報じるかを考える。実名報道のポリシーなどを公表する必要もあるだろう」と要請した。

    ※新型コロナウイルス関連情報はこちら

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