ログイン
Myページ
Myページ

愛媛新聞ONLINE

2020
716日()

ログイン
Myページ
愛顔会員Myページ
MENU

愛媛の高校スポーツ 指導者ファイル

<5>立井万喜(47) 西条高弓道部監督 所作の細部 見極める 助言前に必ず問いかけ

2020年5月8日(金)(愛媛新聞)

 

 鍛錬と精神力が求められる弓の道。立井万喜=写真左=は、選手個々と向き合い、所作を徹底的に見極める指導法で、西条高の女子を一昨年まで5年連続全国高校総合体育大会(インターハイ)に導き、国体少年女子監督として連覇を果たすなど実績を残している。

 ぴんと張り詰めた空気が漂う西条高弓道場。静寂を突き破るように、真っすぐ矢が放たれる。立井はその様子を後方からじっと見つめる。選手の弓を引く姿勢や癖、指先の使い方に至るまで、細かな変化に神経を集中させていた。

 「さっきと何が違うか分かる?」「何でそうなったの?」。射の意図や感覚を自分でつかめているかどうか。アドバイスをする前に、必ず選手に問いかける。

 高校生が主に取り組む近的は、28メートル離れた的に矢を当てた数を競う。単純なように思えるが、的の直径はわずか36センチ。アーチェリーのような照準器などはなく、体の感覚で覚えていくしかない。「細かいところでは一人一人、射が違うと言っても過言ではない」

 自分の癖を把握して繰り返し射るうち、体の使い方が身に付き、結果が伴うようになる。立井の指導に問いかけが多いのは、理解を助けるためのアプローチの一つなのだろう。その積み重ねが技術となって、選手それぞれの体に染み込んでいく。

 2005年から監督を務める国体チームの指導は、部活動とは違い、ほぼ初めて会う選手を短期間で力を出し切れる状態に仕上げなければならない。練習期間は1カ月半から2カ月ほど。「ここでも見ることに尽きる」。なぜ当たるのか、何がポイントになっているのか、さらに伸ばすにはどうしたらいいのか―。じっくりと見極めてから指導に当たるという。

 選手のほとんどが高校で競技を始め、「弓道の『き』の字も知らない」状態からのスタートだ。立井自身も松山西高で弓道を始めたが、指導者になったばかりの頃は、何を教えればいいか全く分からなかったという。

 「自分が知っている弓の引き方は自分にしかできないものだったから」

 知人に頼んで県内の学校と練習試合を組んでもらい、つてをたどって県外にも遠征した。生徒と同様に立井も、指導者として地道に経験を積み、教えを請い、学んでいった。

 指導歴が15年を超え、レベルの高い県内で結果を出すようになった今も「まだ勉強中」と笑う立井。きょうも選手の後ろから、厳しくも温かなまなざしを向けている。(敬称略) 

 

【たつい・まき】

 松山市出身。松山西高で弓道を始め、選手として2度の国体優勝。04年から宇和島東高、12年から西条高で指導に当たる。

    愛媛の情報なら、愛媛新聞のアプリ。

    欲しい情報をいつでもあなたにお届け!プッシュ通知機能も充実。