愛媛新聞ONLINE

2021
56日()

新聞購読
新規登録
メニュー

県内関係施設

高齢者施設、苦心 人手不足の中で予防徹底

2020年4月17日(金)(愛媛新聞)

面会制限などに理解を求める案内を示す「ガリラヤ荘」の高橋雅志施設長=16日午前、東温市南方

面会制限などに理解を求める案内を示す「ガリラヤ荘」の高橋雅志施設長=16日午前、東温市南方

 新型コロナウイルスの感染者が出た松山市のサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)では、市から自宅待機を要請された職員らが代替要員が確保されるまで、高齢者への医療的ケアサービスを続けていた。重症化が懸念される高齢者が集団で生活する県内の関係施設からは16日、「利用者の命を守るにはリスクの大きい行為」との指摘がある一方、「明日はわが身」と業界の人手不足や対応の難しさを吐露する声も。高齢者施設の関係者らは「一人の感染者も出してはいけない」と感染予防の徹底にさらに気を配っている。

 

 特別養護老人ホームなどを運営する高齢者総合福祉施設「ガリラヤ荘」(東温市南方)では、各10床のユニットごとに出入りする職員を限定することで感染リスクを減らし、万一どこかで感染者が出た場合の「接触者」の数を抑えている。2月末から順次対策を強化し、職員の出退勤時の検温や入居者家族の面会制限に加え、職員の同居家族の体調や県外への訪問歴も調査。県内での感染拡大を受け15日には、外食やカラオケ、冠婚葬祭など私生活での行動自粛も改めて強く呼び掛けたという。

 

 「一人でも感染者が出たら施設運営が機能しなくなる可能性が非常に高い」と高橋雅志施設長。施設では基礎疾患や障害のある重度の入居者が多く、感染を防ぐと同時に生活を守ることが不可欠だ。それでも感染者が出た場合は「入所者を放ってしまうことはできないが、命を守るためには(感染者や濃厚接触者は)休ませるべきだ。だからこそ感染予防を徹底するしかない」と強調。面会ができない入所者と家族の不安を軽減するためには、近くタブレット端末でのテレビ電話対応などを始める考えだとする。

 

 県老人福祉施設協議会の菅原哲雄会長は「県内の各施設はできる限りの対策を徹底してきた。まずは施設に(ウイルスを)持ち込ませないのが第一」と話す。

 

 理事長を務める社会福祉法人・砥部寿会の高齢者総合福祉施設「砥部オレンジ荘」(砥部町大南)では37度以上の熱がある職員は最低4日間の自宅待機として受診を促し、熱がなくても体調の変化があれば休ませる。家族からの差し入れは消毒し、業者らの訪問も詳細に記録。いざというときに感染経路をつかめるよう構える。施設で感染者が出た場合は、法人内の事業所から職員を応援で動かすことも決めたが「他の法人に応援してもらうのは難しい。対応は施設の規模にもよるだろう」とみる。

 

 県長寿介護課は、松山市のサ高住で医療的ケアに関わる職員の代替要員をすぐに確保できず自宅待機できなかったことについて「全職員が濃厚接触者などになった場合の対応の難しさが改めて浮き彫りになった」と受け止める。業界全体の人手不足にも触れ、感染対策の徹底やフロアごとに担当者を分けておくといったリスク分散を呼び掛ける。

 

 市内のある高齢者総合福祉施設の施設長は「施設を利用するのは生活に困っている人。その暮らしを維持するのがわれわれの仕事」と、サ高住内の対応に「半分同情する」と打ち明ける。利用者の命と生活を守るため、衣食住や排せつなど最低限のケアは絶やせない。自宅待機を要請しつつ、人員の手配などに具体策を示していない行政を「(現場への)無関心」と受け止めていた。

 

    ※新型コロナウイルス関連情報はこちら

    各種サービス

    <プレスリリース>一覧

    愛媛の情報なら、愛媛新聞のアプリ。

    欲しい情報をいつでもあなたにお届け!プッシュ通知機能も充実。