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2020
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この人の物語 えひめ

第1部 病と共に<1>突然右半身震え なぜ

2020年4月16日(木)(愛媛新聞)

パーキンソン病になって25年になる岡田行美さん。「つらい時には思い切り泣き、疲れたら寝転んで休み、病と闘うのではなく共に生きていけばいい」

パーキンソン病になって25年になる岡田行美さん。「つらい時には思い切り泣き、疲れたら寝転んで休み、病と闘うのではなく共に生きていけばいい」

 バリアフリーにリフォームした一戸建て、リビングには車いす。「でも、まだ車いすはうまく動かせなくて。自分の足で歩く方がいい」。そう言って立ち上がった女性は、2、3歩歩くとストンと尻もちをつくように床に沈み込んだ。「こうなったら、四つんばいで進むのよ」。笑いながら「よいしょ、よいしょ」と両腕を動かし、体を前に進めた。

 女性は岡田行美(ゆきみ)さん(70)=松山市石風呂町。昼間はこの家で一人過ごし、夜は安全のため、近くの小規模多機能ホーム「ウェルケア高浜」で寝泊まりする。職員が毎日送迎し、昼間2時間おきの服薬も家まで確認に来る。買い物は移動スーパーを利用。炊事や洗濯、掃除も「頑張らないで」ぼちぼちマイペースでやっている。

 「頑張らないで」は、岡田さんが2001年に出版した手記のタイトルだ。「もう頑張ることは、できません。無理せず、できることをやるだけ」。そう話す間も、体はせわしなく左右に揺れ続ける。

 岡田さんに異変が起きたのは45歳の時。東温市の特別養護老人ホームに勤め、介護福祉士の資格を取って気力体力とも充実していた。だが、ある日の勤務中、日誌を読んでいると、突然右半身がブルブルと震え、立っていられなくなった。「何、これは? どうして?」。しばらくして治まったが、半月後、今度は右手の震えが止まらなくなった。

 いくつかの病院・診療科を受診したが原因が分からず、紹介状を手に松山市内の総合病院の脳神経内科へ。そこで医師に渡された薬を飲み、少し休むと震えが止まった。それを見て医師は告げた。「今飲んだのは、パーキンソン病の薬です。あなたはパーキンソン病ですね」

 震えやすくみ、筋肉のこわばりなどの症状が出る進行性の難病。まさか、私が? にわかには、信じられなかった。元気が一番の取りえと信じていた。小さい頃から風邪をひいても薬いらず。短大ではテニス部に所属、毎日暗くなるまでボールを追ってコートを走り回った。体力勝負の特養の仕事も、笑顔でこなしていた。

 母方の祖父がパーキンソン病だったが、発症したのは年を取ってからだった。まだ40代半ばの自分がなぜ―。しかし、落ち込んでいる暇はなかった。すぐさま気を取り直した。病気のことは家族にも職場にも秘密にし、今まで通り仕事を続けよう。岡田さんは天を仰ぎ、こう祈った。「神様、せめてあと5年、このまま働かせてください」

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