愛媛新聞ONLINE

2021
422日()

新聞購読
新規登録
メニュー

「社会正義」の立場で

えひめ平成の大合併10年・インタビュー編 加戸守行前知事(上)(2015年3月9日付 愛媛新聞)

2015年3月9日(月)(愛媛新聞)

合併推進などについて振り返る加戸守行前知事=2015年2月10日、松山市

合併推進などについて振り返る加戸守行前知事=2015年2月10日、松山市

(肩書や年齢などは、紙面掲載時のものです)

 

 県内合併18市町の大半が「平成の大合併」から10年を迎えた。合併は何を背景に行われ、どんな影響をもたらしたのか。関係者、識者に聞く。

 

    ◇……◇

 

 「この人なくして愛媛が『合併先進県』になることはなかった」とも評される。加戸守行前知事(80)は在任中、自他ともに認める合併の旗振り役を務めた。強力なリーダーシップの傍ら、発言が波紋を広げたこともある。

 

     ◇

 

 ―現状をどう見るか。

 

 県内70市町村を11または13に再編する当初の構想からは後退したが、効果は相当程度上がっていると思う。

 

 合併を推進した基本は、税金の無駄を省くこと。加えて、介護保険制度が2000年度に始まるなど行政事務が高度化・複雑化し、職員の質が高度でないと対応できない。小規模自治体では職員をそろえるのは困難と考えた。

 

 

 

 ―合併推進の過程で00年、市町村長と意見交換する「えひめトップミーティング」で道路整備を例に「単独で残る市町村の順番が落ちることはあり得る」と発言。一部首長が反発した。恐怖を感じるような受け止め方もあったと聞く。

 

 自覚を持ってほしかった。市町村財政は、圧倒的な部分は国が出す地方交付税や国庫補助金で成り立っている。行政の単位が小さければ小さいほど税金がつぎ込まれる。

 

 努力して国民の税金の負担を減らした地域には、道路なりインフラなりを優先的に配分するのが国民感情じゃないのかとの思いを表現した。ストレート過ぎて脅迫に聞こえたのだろうが、残念だ。

 

 

 

 ―当時松山市長だった中村時広知事は14年2月の会見で、「(旧市町村の)誇りと愛着が強く、合併したいと思ったまちは一つもなかった。国の財政再建の手段として地方に提案された」との認識を示した。

 

 正直ですね。当時、「困っている中島町を救えるのは松山市しかない」と口説いた。

 

 

 

 ―自主的な合併がうたわれたが、「国、県にやらされた」と感じている市町職員や住民は少なくない。

 

 どう思われたとしても、合併して今日の成果があったことの方が良かったと思う。

 

 

 

 ―自治体内の周辺部となった地域では合併に否定的意見が多い。

 

 なぜそれほど(各地に)細かく役場が必要なのか。インターネットもファクスもあり、役場が遠くなったから行政サービスが落ちた、相談ができない、声が届かないという時代ではない。

 

 国がべらぼうな借金を抱えているのに「もっと借金して今まで通りに生活の面倒をみなさい」と言うことが正しいか。私は「国民の正義」の立場から市町村合併を推進した。

 

 

 

 ―「国民の正義」とは。

 

 社会正義。国民が求めているものではないだろうか。大企業や都市のサラリーマンが納めた税金を、非効率的な行政をキープするためにつぎ込むことが正しいことだろうか。

 

 合併で量的な住民サービスの向上はありえない。役場、首長、職員、議員の数が減る。(サービスの)レベル低下と感じるはず。それはある意味で合併の目的を達成したことになるのではないか。

 

 

 

 【かと・もりゆき】 八幡浜市出身。東京大法学部を卒業し、57年文部省(現文部科学省)入り。文化庁次長、同省大臣官房長などを経て99年、愛媛県知事に初当選。10年11月まで3期務めた。

 

    <プレスリリース>一覧

    愛媛の主要ニュース

    トップ10ニュース

    愛媛の情報なら、愛媛新聞のアプリ。

    欲しい情報をいつでもあなたにお届け!プッシュ通知機能も充実。