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改革と挑戦

加戸知事 退任インタビュー 12年間総括(2010年12月1日付 愛媛新聞)

2010年12月1日(水)(愛媛新聞)

3期12年のかじ取りを振り返る加戸知事。開かれた県政は継承されるか=県庁の知事室

3期12年のかじ取りを振り返る加戸知事。開かれた県政は継承されるか=県庁の知事室

(肩書や年齢などは、紙面掲載時のものです)

 

【職員給与 大幅カット 胸が痛んだ/ダム事業 中止や変更 犠牲も多く/開かれた県政 意識変える役割果たす】

 

 

 

 11月30日に退任した加戸守行知事(76)。「開かれた県政」を掲げ1999年に初当選後、3期12年のかじ取りを務める間、どんな思いを抱いていたのか。単独インタビューで、今後の首長の在り方などを含めて聞いた。

 

 

 

 ―最大の政治的判断は何だったか。

 

 まずは三位一体改革で(国からの地方交付税が激減し)ピンチになり、財政構造改革に踏み切った。職員給与の大幅カットは胸が痛む思いだったが、よくついてきてくれたと感謝している。一番つらい決断だった。

 

 

 

 ―事業関係では。

 

 ダムだ。三つあり、県営中山川ダム(西条市)の建設中止、山鳥坂ダム(大洲市)の計画変更、県営黒瀬ダム(西条市)での西条地区工業用水道事業の計画給水量縮小だ。

 

 中山川ダムは総工費570億円の事業が進んでいた。国へ補助金を返さなければならず農林水産部ですごい反対が上がった。今なら当たり前だが、当時は進んでいるのを止めるのは大変だった。

 

 山鳥坂ダムの計画変更は発電を犠牲にし、鹿野川ダムの改造も案として打ち出し、やっと国が認めてくれた。西条工水は経営改善へ泣く泣くだったが、200億円を超える赤字で損切りをした。とかくダム関係に振り回された12年だった。

 

 

 

 ―就任前、県政はどんな印象だったか。

 

 硬直した県政と言われていたが、石橋をたたいてパーフェクトを求め、ミスを犯さないという優秀な官僚機構が出来上がっていたのだろう。ただ前進はせず、時代に合わなかった。それは変えなければならない。トップに君臨した人(知事)の機嫌を損じないように(という県政)だったのが、今やっと普通の県になれた。その意味で、それなりの役割を果たせたと思う。

 

 

 

 ―県政改革では抵抗にも遭ったのか。

 

 県の税金や国の規制で優遇措置を受けている団体の長が、いくつものポストで副収入を得るのは恥ずかしくないのか、と攻撃させてもらった。その体質は愛媛全体にあったのではないか。そこで知事に就くとき、ポストを兼ねても副収入はもらわなかった。県職員も監査役などで小遣いをもらっていたのをすべて断ち切り、本来の業務に専念させた。摩擦は起きたが、すっきりしたのではないか。

 

 

 

 ―文部官僚から知事になり、国から地方へ立場が変わった。

 

 国土交通省や厚生労働省のように規制する官庁ではなく、文部省(当時)は都道府県を指導するのが役割。東京の本省にいるときも地方で困ったことがあれば、どうすれば願いをかなえられるのかと仕事をしてきた。

 

 だが(知事として)県に来てみて、なんと想像を上回るいろんながんじがらめのばかばかしい規制が山のようにあることか。現場で感じ、憤った。打破しなければと構造改革特区で打ち出したり、陳情したり。霞が関(文部省)にいるときは地方の立場を考えていたはずだったが、振り返れば反省は当然ある。国に対する激しいチャレンジは、ほかの知事より度合いが強かったと自己評価する。

 

 

 

 ―大阪などで、首長による地域政党が旗揚げされている。

 

 大阪の橋下徹知事らの動きは、評価している。革命に近く、(摩擦による)大量出血を伴うだろうから自分にはできないが。

 

 ただ首長と議会とは制度上、車の両輪。圧倒的な人気を得て首長に選ばれたからといって「議会がすべて付いてこい」というのは、大政翼賛会を求めることにならないかと懸念はある。ショック療法だが、今後のあるべき一つの方向性に大きな一石を投じていると思って見ている。

 

 

 

 ―県内でも可能性はあると思うか。

 

 愛媛の土壌や体質からして、同じようにはならないだろう。ただし大阪の動きを見て愛媛の知事が応用する形で、首長と議会が切磋琢磨(せっさたくま)する状況は出てくるのかなと想像する。

 

 

 

 ―妻・道子さんが県政に与えた影響は。

 

 東京で介護や子育てボランティアをしていた経験があり、話を聞いて、愛媛で子や孫が苦労しなくて済むようにという彼女の思いを「愛と心のネットワーク」という施策で打ち出し、進めた。基本コンセプトに道子の願いを生かした。その意味で極めて大きい影響を持ったと思う。

 

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