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2020
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子どものために連携を 愛媛・児童虐待防止研修会報告

<上>顔の見える関係重要 多機関連携で情報共有

2020年3月4日(水)(愛媛新聞)

児童虐待対応の多機関連携などをテーマに議論を交わした県医師会の研修会=1月下旬

児童虐待対応の多機関連携などをテーマに議論を交わした県医師会の研修会=1月下旬

 全国で子どもの虐待死が相次ぎ、関係機関の協力の在り方が課題となる中、医療職の立場から多機関連携の在り方を考える県医師会の研修会がこのほど、松山市内であった。県内医療機関の現状報告があり、行政や捜査機関などとの多機関連携推進を目標に掲げ、県外事例から展望を探った。研修会の概要を前編で、東京都目黒区の女児虐待死事件の経験を壇上で語った医師の思いを後編で伝える。

 

 研修会には医療職を中心に行政や検察の担当者ら約110人が出席。多くの病院が設置している「子ども虐待対応院内組織(CPT)」の活動内容から議論を始めた。医療機関は虐待発見や関係機関への医学的診断の提供という重要な役割がある上、その過程で親とトラブルになることが多いことから、個人に対応を任せずCPTを置くケースが増えている。

 県立中央病院小児科主任部長の山本英一医師は自院CPTの活動について、虐待を受けた可能性のある子どもを把握した際などは緊急協議を行い、定期的に児童相談所や松山市子ども総合相談センターと情報共有していると説明。2019年に子どもへの虐待の恐れがあるとみて協議するなどしたケースは64例、家庭環境などから妊婦の支援が必要とみられた事例は200例あったと報告した。

 県内病院のCPT設置状況も概説。重症患者に対応する2次医療機関、高度医療を提供する3次医療機関にはほぼ設置されており、1次医療機関にも充実した活動を行う病院があると述べた。

 20年度には国、県の補助で「児童虐待防止医療ネットワーク」が立ち上がる予定。診療所など医療機関が虐待対応に迷った際に県指定の拠点病院が助言する制度で、山本医師は「しっかり進めていくことが必要」と語った。今後の課題として検察、警察との連携▽多様な職種が参加する研修会創設▽虐待事例の検証と防止策の検討―などを挙げ「子どもと家族のために取り組んでいきたい」と呼び掛けた。

 千葉県の国保旭中央病院の仙田昌義医師は同県の多職種勉強会の活動を紹介。臨床医や解剖医、看護師、ソーシャルワーカー、児相職員、警察官、検察官、弁護士らが参加し「顔の見える関係を築いて気軽に意見交換できる関係ができている」と効果を述べた。

 香川県の国立病院機構「四国こどもとおとなの医療センター」の木下あゆみ医師は「児童虐待防止医療ネットワークを生かし、診療所から気掛かりな子どもを紹介という形で引き継いだり、ほかの病院のCPT立ち上げをサポートしたりしている」と語った。

 同県では病院や児相、捜査機関などの連携が進んでおり、虐待事例があった場合は数日中に関係者で会議を開いて対応していると説明。加害者の刑事処分を決める前に検察が児相など関係機関と再発防止などに関して協議する「処分前カンファレンス」にも医師が参加していると述べた。

 警察、検察との情報共有は「チャイルド・ファースト(子どもの幸せを第一に)で動くならば良いこと。顔の見える関係が重要」とし「ネットワークは他機関とつながる契機にもなる。愛媛でもきっと連携が広がるはず」とエールを送った。

 愛媛県医師会の村上博会長は「毎年悲しい事件を目の当たりにし検証で反省点が見つかる。こうした研修会で経験値を上げセンスを磨き、関係者としっかり連携することが大事だ」と強調した。

 偶発的な事故なども含めた子どもの全死亡事例を検証し、再発防止につなげる「チャイルド・デス・レビュー」(CDR)制度についても議論。厚生労働省が近い将来の全国導入を目指しており、山本医師は「県内での理解を広めていきたい」と意欲を語った。

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