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大腸がん経験の女性 四国中央

【web限定】たくさんの「キャンサーギフト」 役立てたい

2020年2月21日(金)(愛媛新聞)

「がんを経験し、ありふれた日常の大切さを実感した」と話す岩村さん

「がんを経験し、ありふれた日常の大切さを実感した」と話す岩村さん

手術を受ける際、岩村さんが大事にしていたお守りの品々。長女が折ってくれた鶴もある

手術を受ける際、岩村さんが大事にしていたお守りの品々。長女が折ってくれた鶴もある

「がんを経験し、ありふれた日常の大切さを実感した」と話す岩村さん

「がんを経験し、ありふれた日常の大切さを実感した」と話す岩村さん

手術を受ける際、岩村さんが大事にしていたお守りの品々。長女が折ってくれた鶴もある

手術を受ける際、岩村さんが大事にしていたお守りの品々。長女が折ってくれた鶴もある

 がんになったからこそ得た経験や気づきを「キャンサーギフト」という。昨春に大腸がんが分かった四国中央市の岩村由香里さん(49)は「結果的にステージ1だったから比較的、心身の負担は軽かった。それでも死に向き合った経験は大きく、ありふれた日々の大切さが分かった。できることならキャンサーギフトを他の人の役に立てていきたい」と前に進む。

 

【知識はあっても、思考が止まった】

 自覚症状はなかった岩村さんだが、かかりつけ医の勧めで「念のため」受けた検診で異常を指摘され、2019年1月、大腸カメラの検査を受けることになった。検査を進めるうちに医師の雰囲気が変わり「後日入院しましょう」と告げられた。がんの可能性を尋ねると「五分五分です」。岩村さんは市内のサロンで身体のケアをするセラピストとして働いており、仕事柄、がんの知識はある程度あった。それでもその瞬間、思考が止まった。2月に一泊入院して大腸ポリープを切除し精密検査を受けることに。そこから、病巣周辺を切除する手術を受けるまでの時間が「精神的に本当につらかった」。

 

 家庭では義母の介護のために夫が別居することになり、転職、引っ越したばかり。長女は小学1年とまだ幼かった。「覚悟をしなければ」と思いつつも、不安が日に日に大きくなった。3月、医師から検査結果について「早期のがんだが転移の恐れがある。手術をして、転移が分かればステージ3」との説明があった。夫と「前向きに乗り越えていこう」と話したものの、やはり落ち込み、1人になると再発の恐怖や最悪の事態を考えて泣いた。「気持ちを強くしなければ、でもつらい」の繰り返しだった。

 

【心理療法や患者会のつながり 支えに】

 浮上のきっかけは意外なこと。頭に浮かぶ「癌(がん)」の文字を「願」に置き換えると不思議と恐怖感が薄らいだ。今できることを探そうと、以前から興味があった心理療法に取り組んで心のあり方を見直す方法を学んだり、子どもをもつ患者がつながる患者会「キャンサーペアレンツ」(東京)で、長女への向き合い方のアドバイスをもらった。告知を受けた頃に通っていた四国遍路で出会った粉末の香「塗香(ずこう)」にも助けられた。「和の素晴らしい香りに癒やされ、守られているような気持ちになった」。塗香について深く勉強することが退院後の目標になった。

 

 4月、腹腔(ふくくう)鏡手術で病巣があった前後約20センチの大腸と周囲のリンパ節を切除。検査の結果、転移はなかった。岩村さんはそこで初めて家族の前で涙を流すことができた。抗がん剤治療に対する恐怖感からも解放された。

 

【日常の暮らし 大切さかみしめ】

 岩村さんは治療を経て、いつもの暮らしがいかに大切か、かみしめている。例えば洗濯。毎日毎日面倒くさいと思っていたが、今は長女の洗濯物を干せることがうれしい。「本当に『終わり』って来るんだな、と実感した。キャンサーギフトなどという余裕もない患者さんが多い中、私は日常に戻してもらえた。それならキャンサーギフトを役立てたい」との思いが募り、いくつかの目標や夢を掲げている。

 

 その一つが、学校関係者以外ががん教育を担う外部講師だ。岩村さんは、市の教育委員会に外部評価委員として協力している。がん教育は21年度から中学校で、22年度から高校で本格的にスタートする。岩村さんはがん教育の外部講師としても協力できるようインターネットを使った学習(eラーニング)を開始、子どもをもつがん患者としての経験を元に「家庭や地域、教育現場で、正しい学びや情報を伝えたい」と考えている。将来の目標は、地元でのがん患者や家族ら含め「気持ちがしんどい誰もが、いつでも集まれる」居場所づくり。経験者として寄り添ったり、正しい情報を提供したりできる場所をつくりたい、と夢を描く。

 

 上司や同僚から受けた温かな配慮、民間のがん保険が経済的な安心につながったこと、外科的治療以外にも心の持ち方で助けられたことなど、ほかの患者にも役に立つのでないかと思うさまざまな経験がある。目標の実現に向け、階段を一歩一歩上っていくつもりだ。

(2020年1月取材)

 

 

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